T下が負けていたのだ。相手は東大のI井氏。失礼になってしまうが番狂わせと言ってもいいだろう。T下にとっては痛恨の負けになってしまった。
局後のT下の落ち込み具合は計り知れない。私が控え室に戻った頃には、既にお馬さんの運動会を観戦しに、現実逃避していたそうである。
また、O平も負けていた。相手の方は一年生だったので知らなかったのだが、こちらも東大だった。恐るべし。明治サイドも少しプレッシャーを与え過ぎていたかもしれない。
結局残っているのは私だけに。いつものことだが、明治からベスト16に残るのは少ない。心寂しいものである。
私の相手は早稲田のT橋氏。関東では最高峰クラスの難敵である。大学四年目にして初の対局となった。
将棋は矢倉となる。実は予想していた戦型と違っており、全くのノーマークだった。
図の後手が私。ここまでソフトみたいなことをして攻めかかり、先手陣は相当嫌らしい格好である。
▲8三角打△8八歩
8三角打は考えていなかった。角が質駒となるかからだ。苦心の一着といったところだろう。実際この辺りはT橋氏の長考が続いていた。図の局面まで進み、次に桂馬を取ったり、角を手に入れて6九角や4七角の筋を見せてやれると思っていた。だが次の一手が厳しかった。
▲2四歩
痛い。脳天にハンマーを振りかざされたような手で、どう応対しても味が悪い。
ここで私は同歩と取り、2三歩に1二玉と寄ったが、自陣がずいぶん弱体化してしまった。4三角成とされると3二の地点にスペースができるのが辛い。駒を渡し過ぎると攻め合い負けになる恐れが生じ、勝てない流れになった。
ちなみに2三歩のところでT橋氏は同玉を気にしていた。2五歩とされて一見ダメなようだが、8九歩成2四歩同銀となって意外に手がわからないとのこと。ホンマかいなと思ったが、本譜よりも耐久力があった。形で判断してはいけませんね。
結局ベスト16で敗退となってしまった。学生名人戦(以下学名)出場まであと一歩届かず。いつもいつも個人戦ではお強い相手に負かされている。またどこかで一発入れることができたらいいのだが。
しかし、ベスト16でもまだ学名出場の希望が残っているそうだ。私は全く知らなかったのだが、有識者の方によると、団体戦の結果が良ければ行けるらしいのである。
枠は2つ。つまりベスト16で負けた8人のうちの、2人が進出ということになる。(ってことでいいんですよね?)
ではどういったスコアを残せばいいのか。これも有識者の方によると
7-0→学名進出
6-1→学名の可能性あり
5-2以下→出直せ雑魚
ということらしい。なんて高い壁だこと……
実際はポイント制になっていてもっとごちゃごちゃとしているのだが、もう細かいことを考えず勝つしかないのである。
というわけでA級校の方々、どうかお手柔らかにお願いします。