タクシン元首相、タイ王室への敬意を表明 | 「アジアの放浪者」のブログ

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もはや、「過去の人」になりつつありますが…。

2006年の軍事クーデターで失脚し、以降、国外で亡命生活を送っているタクシン・シナワット元首相。この度の選挙で第2党となった「貢献党」の創設者で、現在も財的に同党を支えています。彼の親族の中には、同党役員に就いている人が少なくありません。今回の選挙の顔となった、次女のペートンターンもその一人ですね。

 

 

このタクシン元首相。

2008年には妻(現在は離婚)の土地売買取引に総理大臣として便宜をはかったとして、禁錮2年の有罪判決を受けています(本人は裁判に欠席しており、一審で判決が確定しています)。それゆえ、タクシン氏は今帰国したら、すぐに収監されることになります。

 

この判決から逃れるためには、国王による恩赦しかありません。

それゆえタクシン氏は、貢献党が今回の選挙で第1党となった「前進党」と組むにしても、前進党が公約に掲げている「不敬罪改正」には賛同しない、と公言しています。ましてや王室改革には、なお慎重姿勢を貫くようです。

 

Ex-PM Thaksin emphasises respect for the monarchy | Thai PBS World : The latest Thai news in English, News Headlines, World News and News Broadcasts in both Thai and English. We bring Thailand to the world

 

時代は、変わる。

タクシン氏は一時期、皇太子時代のマハーワチラロンコーン国王陛下と良好な関係を保っていたことがありますが、同国王の父であるプミポン国王とは緊張関係にありました。タクシン氏は首相に就任した際、「自分はタイのCEOになる」と発言したとされており、これがプミポン国王陛下の不評を買ったようです。それにタクシン氏は、自分の財力をもって議員たちを集め、与党を形成していましたから、これもプミポン国王の懸念点でした。

※タクシン氏が最初に設立した「愛国党」は、所属議員に党として多額の手当を支払っていました。まぁ、違法ではありませんが、その手当を求めて他党から国会議員がおおぜい移籍してきたことが特徴的です。当時のタイ政治のレベルがよくわかります。

 

自分の国に帰るためには、2年間服役するか、恩赦を求めるしかないタクシン元首相。

同氏によるタイ王室へのラブコールの背景には、こうした事情があるようです。でも、そうなってしまったからこそ、現在の王室のあり方(特に王室資産の位置づけ)に疑問を抱いている若い世代にとっては、もはやタクシン氏はさほど魅力的な人物ではありません。ましてや、「民主主義の象徴」にはなり得ません。

 

世代は代わり…。

40代がタイ政治の牽引役になろうとしています。現在の有力首相候補、ピター氏は42歳です。