カンボジアは地方選挙選中 | 「アジアの放浪者」のブログ

「アジアの放浪者」のブログ

東南アジア、南アジアを中心に、体験・見聞したことをレポートします。

現在滞在しているカンボジア。

6月5日(日)に地方選挙が予定されていて、現在選挙戦の真っ最中です。

 

この選挙。カンボジア25都州(プノンペン都+24州)にある「サンカット(Sangkat)/コミューン(Commune)」の議会議員を選出するものです。

 

プノンペン都や24の州では、政府の条例や法律によって「区」「市」「郡」の区分けがあり、「区」「市」にある地方自治体を「サンカット」。「郡」にある地方自治体を「コミューン」と呼んでいます。日本でも、「市」と「村」があるようなものですね。なおサンカットやコミューンは、同国地方行政の最小単位ですから、これは日本の村議会議員選挙に相当します。

※そのため以下、「村議会」と記します。

 

ちなみにカンボジアでは、州議会といった中間的なものはなく、直接選挙による議会といったら下院(国民議会)と村議会のみです。また、村議会に立候補するには、選挙管理委員会に登録された政党に所属していなければなりません(政党名から選ぶ比例代表制なので)。無所属候補というのは、カンボジアではありえないのです。

 

村議会議員が決まると、引き続き村議会が村長に相当するサンカット・チーフ/コミューン・チーフを選出します。そのため、村議会選挙で多数派を確保した政党のリーダーが村長に選出される傾向にあります。

 

現在カンボジアには、1,652のサンカット/コミューンがあり、村議会の定員総数は 11,622議席です。

今回の選挙では、全国で17の政党から86,000人あまりが立候補しています。この中から、全国で登録されている約920万人の有権者が投票によって民主的に選出するわけです。

 

そして、5月21日から選挙運動が開始。各地で支持を訴えるパレードが行われています。

 

 

一見、けっこう民主的なようですが、内実はそうでもありません。

多くのメディアは与党「人民党」の選挙運動ばかり報じますし(上の2枚の写真も与党)、国家公務員、地方公務員も、人民党の選挙運動に駆り出されるのです。「公務員が勤務時間中に特定政党を支援していいのか」と憤慨する人もいるかも知れませんが、これ、「公務」ではありません。各人が有給を使い、交通費も自腹で選挙運動に参加しているのです。

 

しかし実際には上司から「お前、〇〇日に〇〇村へ行って、そこで行われる選挙集会に参加しろ」と指示が出されます。拒否しても構わないのですが、その場合、人事上の仕返し(左遷、降格、へき地へ移動)を覚悟しなければならないのです。カンボジアの公務員は、与党もしくはフンセン首相への「宮仕え」が強く求められています。

 

さすが、30年以上も首相の座にあるフンセン皇帝。権力保持システムは盤石です。

※カンボジアには̪シハモニ国王陛下がいらっしゃいますが、フンセン氏はその上にいるということで「皇帝」。

 

野党も候補者を出してはいますが、有力者は逮捕されていたり、被選挙権が停止されていたりと、弱体化されています。

その弱体野党の中でも、一番チカラを維持しているとされている「ろうそくの灯党」。この政党が、どれだけ村議会の議席を確保できるのか。

 

 

カンボジアは来年2023年に下院(国民議会)選挙を予定しています。今回の村議会選挙は、その前哨戦。

野党の躍進…まではいかなくても、せめて存続していって欲しいです。