意味深なタイ国王の祝辞 | 「アジアの放浪者」のブログ

「アジアの放浪者」のブログ

東南アジア、南アジアを中心に、体験・見聞したことをレポートします。

明けましておめでとうございます。

 

このブログでは毎年恒例としているのですが、2020年もタイ国王陛下の新春祝辞をご紹介させていただきます。国王陛下の祝辞は、タイのほとんどのテレビ局で大みそかの夜に放映されます。あわせて、

国王陛下からの年賀状も公表されます。

 

まずは、年賀状から。

 

 

国王・女王両陛下が、父である故プミポン前国王の肖像画の前で、仲良さそうに座っていらっしゃいます。左には、両陛下のご署名と共に、「王室として新年を祝する。仏暦2563年」と書かれています。

※仏暦というのは、ブッダが入滅(死去)した時点を元年としている暦です。仏教国を自任するタイならではの暦。

 

引き続き、テレビ放映された祝辞を。

 

 

標題を付けるとしたら、「失敗から学ぼう」となりましょう。

マハーワチラロンコーン国王陛下は、「日常生活の中で失敗や過ちを犯すことは、きわめて自然なこと。大切なのは、その失敗から何かを学び取り、失敗を繰り返さないように注意しながら、人徳を高めていくことだ」と述べられました。

 

失敗から学ぼうと呼びかけるとは、とても素晴らしい。失敗や過ちを度々繰り返す私たちに、大きな励みとなるメッセージです。

 

でも、ちょっと意味深長な…。

2019年、マハーワチラロンコーン国王陛下は、社会の近代化と共に歴代のタイ国王が自粛してきた「公的側室(実際には第2夫人ともいえるのですが、タイは法律で一夫一妻制とされていますから、公的側室という苦しい訳語になります)」の称号を、長く愛人としていた女性(ゴイさん)に授けました。しかし何があったのか、数ヶ月後にはその称号をはく奪し、地位も名誉も金銭も奪い取ったうえで、ゴイさんを王宮から放逐しています。その後のゴイさんの消息は、まったく不明です。

 

これは国王の女癖の悪さ、軽々に女性を扱う冷酷さを証明する出来事として、王室人気急下落の一因になっているのですが、まさに自身がこの出来事を弁護するような祝辞です。

 

でも、タイ人はやさしいですから。

マハーワチラロンコーン国王陛下がこの過ちから教訓を学ばれ、女王陛下と仲睦まじい生活を過ごされるのなら、それはきっと国民の大きな悦びとなりましょう。

 

今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。