お隣の愛犬が、お星様になった。
13歳。シェルティの13歳はまだ若い。アジリティでも競技に出ている犬
でそのくらいの年は珍しくない。だが、ペット犬では老犬の部類なのだろう。
お隣の夫婦は、ペットショップで子供にせがまれ、仕方なく子犬を買った、
という典型的なタイプ。その後、娘たちは中学・高校・大学と進むにつれ犬
には興味がなくなり、さらに独立して家を出てからは、完全に夫婦が世話する
ハメになったという、これも典型的。といっても飼えばかわいいので、三人目
の子供のようにかわいがっていた。
私たちが越してきたとき、犬は10歳だったが、すでに耳は聞こえず目も見えず
足腰が悪くて歩くのがやっとだった。TABIが一緒に遊びたくて周りを走り
まわるのだが、うるさそうに「ガウ!」と追い払われ、TABIは逃げていた。
私たちも、よくうちの芝生で日向ぼっこをしているCONNORと遊んだり、クッキー
をあげたりした。足腰が弱っていく彼を少しでも運動させようと、夫婦が散歩
に連れていくのをよく見かけた。
二年ほど前から痴呆の症状が出て、庭を抜け出しては迷子になった。とんでも
ない早朝に起きては、吠えていたこともある。昨年の夏にBBQパーティーで話した
時には、夫婦は「これ以上悪くなったら安楽死を考えている」と言っていた。
数日前から食事をとらなくなり、無理に食べてももどしてしまうようになった。
苦しみを長引かせるよりは、と、安楽死となったという。
今朝はお隣の契約しているゴミ会社の引き取り日。
犬ベッド、オモチャ、クレート、逃亡防止用の柵などが、まとめて捨ててある。
彼を思い出させるものは全て目の前から消してしまいたいのだろう。
いつかは私たち夫婦も経験するであろう、愛犬の死。
どうしても避けられない、悲しい別れ。せめてお互い元気なうちに、楽しい
思い出を作りたいものである。