アメリカやカナダでは、洋服のサイズがどんどん変っている。
どういうことかというと、例えば20年前にLサイズとして売られていた洋服が
今ではMとかSとかのサイズ表示がついて売られているのだ。その傾向は、
北米人のデブ化が加速度的に進行し始めた10年ほど前から顕著になってきた。
実際にはすげーでけえズボンなのに、Sとかプチとか表示すると、とくに女の
客は「私、やせたのよ!ついにサイズSよ!」と喜んで買っていくのである。
ウェストサイズがたとえ70センチであっても彼女たちはかまわない。
「サイズS」という点にまず魅力を感じるのだ。ちょっと信じられないかも
しれないが、いつの世もファッション業界と化粧品業界は「女は馬鹿」という信念で
マーケティングをおこなっているので、こういうことを平気でする。
では業界でサイズのスタンダード、例えばMサイズのスカートならウェストが
80センチとかいう決まりがあるかというと全くなく、メーカーにより実際の
服の大きさはバラバラ。夫も、あるメーカーのTシャツはLサイズだが、他の
メーカーだとMでも明らかに大きすぎたりする。
今日もあるアメリカの老舗ブランドでスカートの試着をしたが、プチサイズの
2なのに大きい。大きいどころか、ウェストの両端をつかんでいた手を離すと
スカートがストンとそのまま床に落ちてしまった。巻尺を借りて測ってみると
なんとスカートの実際の内寸が68センチもある!私のウェストの実寸はそれより
10センチ以上細いから、とてもはけない。カスタマーサービスに聞いてみたら
「うちのプチサイズは丈が短いだけで、幅が細いわけではない」だって。
そんなプチがあるかよ!要するにチビデブご用達ってこと?
しかしそのブランドのカタログを見ると、抜群にスタイルの良いモデルが同じ
アイテムを着こなしている。スタイリストの知人によると、ああいう撮影の
ときは洋服の余った部分をピンや両面テープであちこちとめて、細く見える
ようにして撮影するのだそうだ。ちっ、騙されたよ。
たまにプチサイズでぴったりかぴったりに近いものを見つけることがある。
そういう小さいサイズは店もあまり仕入れないし、小柄な東洋人の女は狙って
いるから即断即決で買わないと、まず二度とお目にかかれない。バーゲンでなく、
定価なのに、マジで奪い合いになってしまうこともしばしば。
あ?全く、洋服一枚でもこんなに疲れるとは。