デカルトの円定理(4つの円が互いに接する時の曲率(半径)の関係式)を

4円が互いに外接している時のみだが、座標と地道な等式変形だけで示してみる。

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デカルトの円定理(外接のとき)

 (k₁+k₂+k₃+k₄)²=2(k₁²+k₂²+k₃²+k₄²)

ただし、k₁, k₂, k₃, k₄は4つの円の曲率(半径の逆数)

 

証明

  4つの円の半径をr₁~r₄とする。 なるべく式が簡単になるように座標系を考えた結果、円1の中心を原点、円2の中心をx軸正の位置になるように固定する。よって円2の中心は(r₁+r₂, 0)になる。 次に円3を円1と円2に外接するように置く。円3の中心は円2のようにすぐに求まらないので、円3の中心をとりあえず(x₃, y₃)としてそれらの連立方程式を立てる。具体的には円1と3、円2と3が外接する式、半径の和と中心間の距離が等しいという式である。

  円1と円2の中心のy座標がともに0なので、2つの式を引くとx₃, y₃の2乗の項の他にもy₃の項も消え、x₃についての一次方程式になり簡単に解ける。これをどちらかの式(簡単な方、画像では円1と円3の式)に代入しy₃を得る。y₃は2乗しているので、y₃の値には±が付く。これは円3がx軸のどちら側かという意味である。

  今回は4つの円がともに外接している場合のみ考える(もう一つは3つの円が1つの円の中にある時、この時は結果の符号が変わる)。この時、円4も円3と同じく円1と円2に外接しているから、(x₃, y₃)と同様にして(x₄, y₄)が求まる。 

  最後に円3と円4が外接するので、それについての式を立てる。この式を変形していくと求めたい式が出てくる。円3と円4でx軸を挟むか否かで式の一部の符号が変わるが、両辺を2乗する(2回行う)ときに平方根と一緒に消えるのであまり気にしなくてよい。

  円3と円4が外接する式は、y座標の差の部分に根号が2つあり、その間の符号が複号(±)になっている。プラスの方が円3と円4がx軸の反対側にある時、マイナスの方が同じ側の時である。

  根号があるのでとりあえず両辺を2乗すると、(a±b)²=a²+b²±2abより、2つの根号は2乗されるのでそれぞれの中身が出てくるが、それらの積が出てくるので、根号および複号は残る。次に、分数だと煩わしいので両辺に分母(r₁+r₂)²を掛けて取り払う。 

  根号と複号が付く項が1つだけになり、分数でもなくなったのでもう一度両辺を2乗すると根号と複号が消えてくれるが、なるべく項を少なくしてから両辺を2乗する方が楽であるので、両辺に共通する項を消していく。共通する項を探す際にすべて展開してもよいが、両辺に2乗の形(中身も似ている)があるので、移項してa²-b²=(a+b)(a-b)の因数分解をするとエレガント。

  そうして残ったのが根号を含む項と含まない6つの項だが、6つの項を2乗すると36(同じのをまとめると21)項まで増殖するので、似たような項をまとめることで(因数分解)項を2つにする。

  左辺が綺麗になったところで漸く両辺を2乗すると、根号と複号が消えて項が4つになる。8次式になったが、目標が逆数の2乗なので両辺を10次式で割ることになる。r₁~r₄の4文字だから、4や8、12次式で割りたいところだがそうはいかない。そこで、よく観察すると、r₁とr₂については4次式だが、r₃とr₄については2次式である。さらに1と2、3と4は対称だが、それ以外の組み合わせは違う。

  ところで、4つの円に適当に番号を振っただけなので、r₁~r₄を互いに入れ替えても同じ式にならなければおかしい。 よって、r₁とr₂の2次式で割ることができると予想できる(そうするとr₁~r₄どの文字に対しても2次式になる)。

  どのような(2次)式で割れるか調べる方法として、因数定理を用いたものがある。これは、ある文字xにaを代入した時に式が0になった場合、その式は(x-a)で割り切れる(因数に持つ)というものである。

  実際にr₂=-r₁を代入すると項が全て消えるので、(r₁+r₂)を因数にもつことがわかる。ということで、(r₁+r₂)を外に出していく。

  (r₁+r₂)に注意して展開すると、(r₁+r₂)を含まない項はr₁²r₂²r₃²r₄²の項だけである。係数は左辺が2、右辺が4であるから、両辺から2つ引きたくなるが、(r₁+r₂)を作りたいので4つとも引いて(r₁⁴-2r₁²r₂²+r₂⁴) =(r₁²-r₂²)²=(r₁+r₂)²(r₁-r₂)²と変形すると(r₁+r₂)が出現する。

  (r₁+r₂)を括り出して割った式にもう一度r₂=-r₁を代入するとまた0になるのでさらに(r₁+r₂)で割ることができる。このとき、(r₁+r₂)を含まないのは最後の2項だが、共通因数でまとめると(r₁+r₂)²が現れる。これを(r₁+r₂)で割ると全ての文字について2次式の6次式になる。

  あとはどれに違和感があるかと言われると右辺の第1項なので、それを引くと左辺も上手く揃う。これをr₁²r₂²r₃²r₄²で割ると目標の形に近付く。実用面ではこの式の方が使いやすいのではないだろうか?(特に同じ半径の2円がある場合) ここからは、見やすくするために半径の逆数(曲率)で表記する。

  左辺の2乗の中の符号がマイナスなのでプラスに変えてから2つの2乗を結合する。そうすると右辺は2つの積(6通り)が4つずつになる。何か違う気しかしないが、ちゃんと変形できる。目標の式の右辺2(k₁²+k₂²+k₃²+k₄²)を足すと、右辺が因数分解できて、左辺と同じものが2つできる。両辺から1つずつ消すと完成。

 

次回は1つの円の中に3つの円が含まれる時についても導出していこうと思います。

 式変形が多いので間違いやすいと思います。その時は簡単な例であるr₁=r₂=r₃=1,r₄=2/√3 -1を代入してどこに誤りがあるかを探すと良いです。