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"Food for Thought"

日々考えていることを、自分の思考をまとめるためにも書きつづっています。

 トレイン・チャンネルで鈴木優人氏の「魔笛」の広告を見つけ、早速、チェックしたところ既に「完売」(完売なのに広告するなよ~)。仕方なく、その特別イベント(「オペラ・作り方のひみつ」)だけを23日に観に行ったところ、ひょんなことから公演のチケットをゲット。

 

 イベントでは、今回、日本で初めて、「魔笛」が作曲された1791年頃の楽器で演奏されることなどが紹介。鈴木優人氏の奥様が吹く「魔笛」(フルート)も完全木管製(茶色でした)。金管楽器にはバルブがなく、チェロは両足で挟み込んで演奏。歴史背景も事前にしっかり勉強していざ本番。

 

 「魔笛」は初めてでしたが、さすがに良かったです。大道具はなくデジタル・アートを駆使。ところどころ日本語のセリフも入って、楽しい舞台になりました(本当はもっと意味深いのでしょうが…)。

 

 デジタルと言えば、Bunkamuraがメタバースを開設(「魔笛」は4階)。もうこんな時代なのですね。

https://www.bunkamura.co.jp/sp/metaverse/

 

 「魔笛」が終わって、知人の横山博氏の電子ピアノ・コンサートに駆け付け。「Acousticへの挑戦」とのことで、電子ピアノをモップのようなもので「叩く」前衛的な演奏もあり、「魔笛」と真逆。18世紀から現代コンサートのハシゴになり、音楽漬けの一日となりました。

 

『トヨタ 中国の怪物-豊田章男を社長にした男』 児玉 博 著

 

 これは面白いです! 自動車版『大地の子』。

 

 中国で生まれ育った服部悦雄という元・トヨタ中国事務所総代表のインタビュー録です。「服部悦雄」は、『トヨトミの野望』では「八田高雄」で登場しますが、その『トヨトミの野望』も織り交ぜながら展開します。但し、こちらの本では全て実名。氏の経歴に合わせて、満州国解散から習近平時代までが描かれ、これを読むだけで中国の近現代史がわかります。

 

 氏は、中国人の本質は「好死不如懶活(きれいに死ぬより、惨めに生きたほうがまし)」と言い切ります。毛沢東の大躍進運動(「雀撲滅運動」は初めて知りました)や文革、天安門事件など、マクロ面のみならず、この「本質」を裏付ける庶民の生きざまも描かれ、自動車事業に関係なくとも読める内容です。

 

 児玉博氏は、かつて故・西田厚聰氏とのインタビューによる『テヘランから来た男-西田厚聰と東芝崩壊』を上梓していていますが、どちらもストーリー展開が秀逸。今回も一気読みコースでした。

 

 実は、以前、トヨタが天津に進出する際に、天津汽車(後に第一汽車に買収)と部品合弁会社設立の交渉を担当しました。この本にある通り本当に大変で(一冊の本が書けると思った)、かつての体験を思い出し、ドキドキしながらページをめくりました。それ故とも言えますが、面白さは太鼓判の一冊です。

 

『日本人という呪縛』 デニス・ウェストフィールド 著

 

 著者は、在日豪州のジャーナリスト。以前、「日本人論」が流行りましたが、本書は、豪州との比較で語る「日本社会論」です。始めの教育論や傲慢症候群(「お客様は神様」に慣れてのぼせ上がる)などは、さもありなんでしたが、メディア・外交・政治以降はなかなか面白い比較がなされています。

 

 豪州は投票率がOECDで第1位(日本は32位)。これは、①義務投票制(投票に行かないと5,000円の罰金!)、②優先順位記載方式(嫌な奴は落とす仕組み)、があるためで、国民の政治参画意識も高くなっている由です。

 

 また、テレビ局と新聞社が株を持ち合う「クロスオーナーシップ」は世界中で規制されているにも拘らず、日本では一体となって論調を統一することとなり、「ジャーナリズムとして理想的ではない」と看破しています。

 

 農作物貿易では、検疫制度や輸出入手続きの手間などが阻害要因となって、日本の高級果物は伸びず、逆に豪州の安い農作物が大量に日本に入るおかげで(対2014年度比で228%増)、日本の作付面積が落ち続けるているなど全く知りませんでした。

 

 その他、少子化対策や移民問題など、新聞は読み込んでいるつもりなのですが、「へぇ~」ボタンをバシバシ叩いて読んだ一冊でした。

 

 琴ノ若関の大関昇進お祝いに佐渡ケ嶽部屋へ。胡蝶蘭がまだたくさん飾ってあり、部屋は鬢付け油のいい香り。部屋から出ても、自分の身体からほのかに香ってくるほどです。

 親方と女将さんにお目にかかるが、目の前の親方はさすがにデカい! こんなのが突進してきたら、自分はもうひとたまりもないと痛感…。

 実は、小さい頃、琴櫻関に抱っこしてもらったことがあります。自分の体がヒョイと琴櫻関の胸に持ち上がり、この時も身体の大きさにびっくりしました。

 琴ノ若関も、やがて琴櫻を襲名し、横綱を目指して欲しいものです。(^^) 

 

 書店で呼ばれるようにして手に取った『変な人が書いた成功法則』を読んですっかりハマり、以来、一人さんの単著はすべて読んでいます。本書は、これまでの考えの「まとめ」という感じに仕上がっています。

 

 9人兄弟の末っ子に生まれ、お母さまが「これで最後の一人にしてください」と願って「一人」と命名。中学校しか出ず(本人は「社会のほうが勉強になるので早く学校を卒業した」と)、大病の末、漢方薬に目覚めて「銀座まるかん」を創業。納税額トップ10(総額173億円)を続けた大富豪ですが、大の読書家。

 

 語り口をベースに平易なので1時間以内に読めてしまうのですが、実は、量子論や『死は存在しない』(田坂広志)と考え方は似ています。「1円の節約は貧乏くさい」と思うか、「節約はおトクで楽しいもの♪」と考えるかで波動が違い、その後の価値も違ってくるなど、いつも気づきがあります。

 

 一人さん独得の「神様」や「霊」が出てくるので、うさん臭いという人もいるのですが、読むと絶対明るく元気になれます。

 

 音楽好きな父は、なぜか運転の時だけはNHKラジオを聴いていました。「なかなか勉強になる」とのことでしたが、その血を継いだのか、このところのハマりものはPodcast。「今更なに言ってんの」なのですが、これが「なかなか勉強になる」のです。

 

 かつては英語の勉強に利用していたのですが、その後ご無沙汰。ふと再開すると、これがなかなか面白いのです。いま登録している「番組」は以下の5つ(その他エピソードも複数)。

 

  ①歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)

  ②あんまり役に立たない日本史

  ③脳科学、脳LIFE

  ④吉野直也のNIKKEI切り抜きニュース

  ⑤耳で聴く後藤達也note

 

 ①は歴史を通じて「人類にメタ認知のきっかけを提供する」ベンチャー企業が運営。主に鼎談で、独自の分析が斬新です。②はタイトルと違ってとっても役に立ち、ちょうど今、紫式部や源氏物語の真っ最中です。③は日々の生活に役立つ脳科学者との対談(④⑤は日経関係)。

 

 やはり移動中に聴けるというのが最大のメリット(無料だし)。ほかにもお薦めがあれば教えてください~。

 


 

 『トヨトミの野望』『トヨトミの逆襲』に続く、トヨトミ・シリーズの完結編。『トヨトミの野望』は既に読三田にも紹介されていますが、知人からも「これ、すごいですよ」と紹介されたものです。今回も「いやぁ~、面白かった」ですが、誰が読んでも「トヨトミ=トヨタ」とわかります。帯には「99%実話の噂」とありますが、恐らくは実話。企業名・人物名は、容易に「ああ、あれね」とわかるよう面白いヒネリが入れてあります。

 

 『トヨトミの野望』はトヨトミ家の御曹司として将来の社長候補である豊臣統一が美人局にあい、それを柔道でならした当時の社長・武田鋼平(奥田碩?)が救い出すという話から始まります。その後のシリーズで、豊臣統一社長の米国公聴会やEV対応の遅れ、ワンマン経営、車検不正事件、豊臣統一から次の社長への交代劇など、これまでのトヨトミに関する裏話(ほぼ実話?)が満載です。現在、トヨトミ・グループで小型車を生産している会社で不正検査が話題になっていますが、なぜこうした事態が起こったのか、この本を読むと容易に理解できます。

 

 豊臣統一は米国で働いていた際に、メディアの重要性に気づき、多額の広告費をメディアに投入。一方で、自社に都合の悪い記事を書くメディア・記者を「出禁」にして広告費も投入しないなどメディアを統制。メディア側も頼みの資金源が削減されると困るので、トヨトミに好意的な記事ばかりを書き、世間はトヨトミを礼讃。しかし、これを読むとトヨトミも普通の会社、というかトヨトミ家の完全独裁企業です。

 

 著者は覆面作家で身元不詳。恐らく、日商新聞(日経新聞?)の記者で、記事にできずに溜まった情報を一気に吐き出したという印象です。ただ、週刊誌的な話題かというとそうでもなく、車検制度やEVの現状、メディアの内情やなぜ中国からEV発となったのかなど、いまの社会動向を理解するのに最適な本とも言えます。自動車関係者ではなくとも、一読を薦めたい一冊です。

 

 これまでに一番泣けた映画と言えば「砂の器」。その後、原作も読んだのですが、映画の方がよっぽど感動的。11月27日付け日経新聞のコラム「春秋」で、この映画の脚本を書いた橋本忍の評伝が出たとあり、早速読んでみました。

 

 橋本忍の名は知らなかったのですが、稀代の脚本家ということがわかりました。「砂の器」だけではなく、「七人の侍」「生きる」「ゼロの焦点」「八甲田山」など、自分でも見た数々の名作の脚本を手がけていたそうです。

 

 ほぼ全編にわたって「砂の器」が出てきます。原作で、「その旅がどのようなものだったか、彼ら二人しか知らない」という、たった26文字の部分を人形浄瑠璃の手法で大幅に脚色。ところが、どの映画会社に持って行っても、「おまえ、頭どうかしているんじゃないか。今時、乞食姿が白い着物を着てあちこち歩き回るって、それが売り物になるとおもっているのか」と断られ、遂に自分のプロダクションを設立して制作。千代吉を生存させるなど、原作とは違う設定もしていますが、「映画は絶対、原作に依りかかってはいけない」のだそうです。

 

「字を書く仕事」であり、毎日、原稿用紙30~40枚は書いていたというのですから、まさに鬼才。取材から12年をかけた力作で、黒澤明監督との確執、俳優選びやチーム編成が映画の出来にも影響するなど、映画制作の裏話も満載。思い入れが強いせいか、「あとがき」にあるように「混沌をそのまま」書いた風でもありますが、「いやぁ、映画って本当にいいもんですね」と言いたくなる一冊です。

 

【Screen X】

 

  FB友達の評価を見ているうちに、やおら行きたくなり、どうせ行くなら邦画初となる「Screen X」で検索。「109シネマプレミアム新宿」の中央席をゲットでき、歌舞伎町タワーの見学も兼ねてお出かけしました。

 

 久しぶりの映画館は、もう以前とは全くの異次元空間。ラウンジがあって、飲み物とポップコーンは無料(ポップコーンは、「これでもか!」と出てくるのですが、美味しくておかわりしてしまいました)。ワインを飲みながら上映までソファーで優雅に待てるとは、かつて早くから並んで席取りした経験者からすると隔世の感があります(いまの若者は羨ましい)。

 

 いよいよ肝心の「ゴジラ-1.0」ですが、これは凄いです。日本のVFXはイマイチとなめていましたが、ここまで来たかと感心しました。ところどころ泣けてしまう場面もあり(「ゴジ泣」と言うそうです)、ドラマとしても、メッセージ性としても、VFX作品としても文句なしの出来に仕上がっています。世界に誇れる正統派ゴジラの決定版と言ってもいいのではないでしょうか。

 

 「Screen X」は海戦シーンでは特に効果を発揮しました。また、ここの音響設計を、故・坂本龍一氏が担当したそうですが(冒頭、映像が出ます)、音質が素晴らしく、いまでもテーマ曲が頭の中をグルグル回っています。思い立ったら吉日で、少し値は張りましたが、十分それに見合う体験ができました。

 

※「109シネマプレミアム新宿」風景は以下

https://109cinemas.net/premiumshinjuku/experience.html

 

『努力論』 幸田 露伴 著

 

 ある飲み会の席で、「それ、幸田露伴の『努力論』にある分福ですね」と話していたのが妙に印象的で、早速読んでみました。

 

 タイトルは『努力論』ですが、あまり努力を云々するものではなく、心の持ち方のようについてといった内容。で、ありました、「惜福」「分福」「植福」という記述。「惜福」はいいことを丸ごといただきにしないこと、「分福」はそれを人と分かち合うこと、「植福」はさらに将来のために福を植えるというもの。この順番で、「福」が映えるということで、眼からウロコ!までは行かないのですが、表現がとてもわかりやすいと思いました。

 

 それにしても、さすがに文章は文語体で格調高いです。父は、「四字熟語を使えるようになるとカッコいいぞ」と言っていましたが、確かに納得です。こうした文章を書けるようになりたいと思いつつ読んだ一冊です。