【書評】 ブティック | "Food for Thought"

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【ブティック】 池井戸 潤 著

 

 「はじめちょろちょろ、中ぱっぱ(始めは弱火で温め、一気に強火にして沸騰)」の本。前半戦で「どうもな~」と思っても、最後まで読むと凄さがわかります。因みに、この「ブティック」というのは衣料関係ではなく、小規模なM&Aブティック(アドバイザー)のこと。

 

 大手銀行に愛想をつかし、15人ほどのM&Aブティックに転職した主人公を軸に、M&Aストーリーが展開。第6章までは章ごとに案件が異なりますが、それぞれ前振りが長いわりに終わり方は簡潔(まだ弱火で温め中)。ところが、ここが伏線にもなっていて、第7章~最終章は、本格的な「ディール」となります(強火で沸騰)。ここの部分は、さすが池井戸潤の本領発揮というところでしょうか。

 

 用語には作中の人物が解説を入れ、分かりやすくできています。(実は自分も経験があるのですが)後半の「ディール」部分はまさにM&Aの圧巻シーンと思います。執筆協力をしたM&Aブティックの経験・知見をもとに書かれたと思いますが、まさに手に汗握る展開(「うわ~、そうきたか~!」の場面)。M&Aに関心のある方は、ややこしい専門書を手に取る前に、こうしたドロドロとした人間関係が物を言う本書をまずは手に取ることをお薦めします。新聞・ニュースに出ているM&A案件や委任状争奪戦も「実態は、きっとこんな感じなのだろうな」と、その意味でも勉強になった一冊です。