【書評】 大洋に一粒の卵を求めて | "Food for Thought"

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【大洋に一粒の卵を求めて】 塚本 勝巳 著

 

 8月1日の日経「リーダーの本棚」で、資金運用会社のトップが筆頭にあげた本。うなぎの卵がどこにあるかを綴った本と言えばそれまでですが、自他ともに認める「うなぎフェチ」としては是非とも読まなくてはなりません。筆頭にあげられた本だけに、これは確かに面白いです。

 

 地球の歴史に始まり、何故うなぎと同様の回遊魚(サケ、アユ、スズキなど)が海と川を巡るのか(著者は何かで居心地が悪くなって移動する「脱出理論」を提唱)、うなぎが卵を産む場所を、「海山域仮説」「新月仮説」「塩分フロント仮説(故郷の匂い「マリンスノー」)」などの仮説を立てて実験・検証。14年もかけて、南太平洋の10m2(2階建ての家一軒相当)という狭小エリアにしかないという卵を見つけ出します。この狭い場所で、産卵から36時間で孵化する卵を見つけ出すプロセスは、手懸りをもとに犯人探しをするミステリー小説のようです(文章もとても読みやすい)。

 

 卵を見つけるためだけに14年もかけたという、この根性には脱帽です。うなぎの名著と言えば、『旅するウナギ』(黒木真理)もありますが、およそ3,000kmも泳いで目の前で蒲焼になっていると思うと、「お疲れさまでした」と手を合わせていただかなければと思った一冊です。