【書評】 二人キリ | "Food for Thought"

"Food for Thought"

日々考えていることを、自分の思考をまとめるためにも書きつづっています。

 実は、隠れ村山由佳ファン。新作が「阿部定事件」とあり、ことの全貌は知らなかったので約500ページを読了しました。

 

 お相手の石田吉蔵の息子が、当初は映画の脚本のため、やがては小説のためにと、阿部定事件の真相を追うという建付けになっています。BBCのドキュメンタリー番組に出てくるような関係者のインタビューを各章に盛り込みながら、その生涯から事件、そしてその後を描いています(インタビュー記録は本当に目の前で喋っているよう)。猟奇事件という印象が強く、不幸な生い立ちからおどろおどろしい場面を想像したのですがいい意味で裏切られました。やはり村山由佳に男女の機微を書かせると一級品になります(よくぞ男性側の心理もわかるものだと感心)。

 

 阿部定本人は、日本中を転々としており、Wikiなどで確認しながら読み進めました。ゆかりの地も多く、旅行の際には気を留めてみようと思います。