ビート・たけしは大学を中退して、浅草のストリップ劇場「フランス座」のエレベーターボーイになりました。ある日、浅草の大師匠と呼ばれる深見千三郎氏とエレベーターの中で偶然出会い、深見氏のカッコ良さに惹かれて、その場で弟子入りを直訴。「お前は何ができるんだ?」と聞かれたあと、深見師匠はその場で華麗なタップダンスを見せ、「お前はこれを練習しな」と一言だけ言って、弟子入りを許しました。
深見師匠の門下生には渥美清、萩本欽一などそうそうたるメンバーがいました。その中でも、たけしはズバ抜けて「素直」。それも、「とんでもなく素直」だったと言います。
ある日、たけしが「漫才で勝負したい」と申し出ると師匠は激怒し、たけしを破門。その後、芸を磨きあげて、たけしは「日本放送演芸大賞」を受賞。破門になっていても、その賞金全額を師匠に「小遣い」と称して渡しました。深見師匠は馴染みの飲み屋で「タケの野郎がよ…生意気によ…小遣いだなんて言ってよ」と、涙を浮かべながら何度も嬉しそうに語っていたと言います。その一ヶ月後、深見師匠は火事で焼死。たけしは「俺たちひょうきん族」の楽屋で師匠の死を聞き、暫く絶句した後、壁に向って、無言でタップを踏み続けたそうです。葬儀で一番、大粒の涙を流していたのもたけし。
オレは少しばかり有名になったが
芸人としては未だに師匠を超えられない
これからも師匠の背中を追い続けるよ
初めて師匠とエレベーターで出逢ったその日から、「今でも」毎日タップダンスの練習をし続けているそうです。たけしが海外に行く時でも必ず持っていくものはタップシューズ。「とんでもない素直さ」「とんでもない義理固さ」。番組では役柄で毒舌を吐いていても、たけしが成功したのはここに鍵があるのかもしれません。
PS
たけしのタップダンスは、YouTube上で検索するとご覧いただけます。