小論文の書き方(15) | 日常メモ

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日々の日常を日記形式で記録しております。興味のあるものは法律,小論文,酒です。日常的に酒を嗜んで生きております。

1 問題提起の重要性
    問題提起は,「これからこんな内容のことを書きます」というメッセージであって,これから述べるテーマを端的に書くものです。問題提起の部分は自分がどういった文章を書いていくかの書き始めですので,非常に重要であることは確かです。しかし,凝り固まった文章,練りに練った難しい文章である必要はありません。
    問題提起で重要なのは,「これから書こうとするテーマがはっきり分かる」「簡潔に書かれている」という点です。


 2 書き出しのパターン
    問題提起部分は,YES・NOの形でテーマを示す前に,導入として前置きを入れておくのが通常です。以下のようなパターンがあるので,使い分けられるようにしましょう。

  (1)定義・分類で始める
      問われているキーワードの定義を書いたり,そのキーワードがどういったジャンルの問題なのかなどを先に書くパターンです。例えば,「リストラについて述べなさい」「コアトレーニングについて述べなさい」など,キーワード自体が難しい場合に,「リストラとは・・・」「コアトレーニングとは・・・」と,用語の説明をしてから書き出すものです。
 

 (2)客観的事実で始める
      これは,テレビや新聞,雑誌などで,報じられているニュースを基にして書き出すパターンです。時事問題の場合に用いられることが多いです。例えば,最近では「上海万博について」や「北京オリンピックについて」などが考えられます。これらの時事問題については,テレビ・新聞などのニュースの知識を先に書いてから問題提起をすると,時事問題への関心を持っていることをアピールできます。
 

 (3)個人の体験談で始める
      これは作文になる可能性があるので注意が必要です。例えば,「障害児について」という場合に,「私の学校でも障害児の生徒がおり・・・」などと始めるパターンです。与えられたテーマについて,最近のニュース等の情報ではなく,また定義で始める問題でもない場合は,自分自身の体験談を交えて書くことになります。特に自分の経験が生かせるような問題の場合は,積極的に書いてみても良いでしょう。

  (4)とんでもない結論で始める
      これは,あまりお勧めしませんが,かなり目立つ書き方です。例えば,「戦争について」という題の場合に,「私は大いに戦争をやるべきだと思っている・・・」などと書き始めるパターンです。どうしても結論や自分の良い意見が思いつかない場合に使うものだと考えておいて下さい。通常は使いません。


 3 問題提起の練習
    問題提起については,前々回に少し教えましたが,①「YES・NOのパターンに直す方法」と,②「問われたことをそのまま問題提起に使う方法」とがあります。②の場合も,反対意見を考慮しなければならないので,結局はYES・NOに置き換えることになります。①が原則で,問題提起が上手く考えつかない場合や,そのまま使った方が有効な場合は,②を使いましょう。
    では,前回までの課題を使って,いくつか問題提起を考えてみましょう。



 (1)添削課題
「現代社会におけるスポーツの意義(役割)」について述べなさい
     参考答案例では,「過去においてのスポーツは,競技性が強く,競うという側面が強かったと考える。では,現代社会において,スポーツの意義は変化しているか,以下考える。」というように,スポーツの意義が「変化しているか」というYES・NOの形に直しています。これは①のパターンです。
この場合,②のパターンだと,「現代社会におけるスポーツの意義は何か考える」というようになります。この場合,スポーツの意義が,「競技だ」という反対説と,「健康面にある」という自説を展開していくことになります。もっとも,現代社会において「なぜ」このように変わっていったのかも出題趣旨ですから,これでは問いに十分答えることができません。展開部分で色々と書いていくことは可能ですが,字数の関係を考えれば,①のパターンが妥当でしょう。



 (2)添削課題①
高齢者とスポーツとの関係についてあなたの考えを述べなさい。
(800字以内,1時間30分)
     参考答案例では,「近時,生活習慣病の予防等で,中高年の運動が注目される中,高齢者においても,ジョギングといった軽めの運動を中心に,スポーツが普及している。では,高齢者とスポーツとの関係をどう考えれば良いか。」という書き出しであり,問題文をそのまま使った②のパターンになっています。
     これは,高齢者とスポーツとの関係について,YES・NOに直すのが困難であったため,「どういう関係か」ということを端的に述べていこうと考えたからです。この場合でも,もちろん,「高齢者とスポーツとの関係は従来の競技性のあるスポーツとは異なっていると考える。では,どのように異なっているのか考えたい。」,「高齢者にとってスポーツは,競技と言うよりは健康や長寿を目的としている。では,それ以外の目的はないのか,以下考える。」などと,①のパターンで書いていくことも可能です。


 (3)添削課題②
以下は産経新聞10月10日のネット記事である。以下の記事を読んで,100字以内で要約し,700字以内であなたの意見を述べなさい。(1時間30分)

「小中高生の体力が向上 13歳の50メートル走はピークに迫る 文科省調査」

小中高生の体力や運動能力が3年連続で向上したことが、10日公表された文部科学省の平成21年度体力・運動能力調査で分かった。13歳男子の50メートル走の成績では、子供の体力がピークだった昭和60年度と同水準に戻っていた。問題になっている子供の体力低下だが、文科省では「運動能力低下が止まり、緩やかではあるが、復調に向かっている」と分析している。
 調査は21年5~10月に小中高校生の約3万1千人を対象に実施。50メートル走や立ち幅とび、ボール投げなど小学生男女は各8種目、中高生男女各9種目の計52種目で体力・運動能力テストを行い、記録をそれぞれポイント化した。
 ポイントの総合得点は、小中高の男女ともに3年連続向上傾向。種目別でも上体起こしと反復横とび、20メートルシャトルランでいずれも向上するなど、52種目のうち28種目で向上傾向。低下は3種目だった。
 特に中学生男子の50メートル走の平均記録は平成10年度より0・09秒速くなって7秒91。昭和60年度の7秒90に肉薄する結果となった。文科省は「体力作りの事業など、学校の地道な活動の成果」と分析する。
 ただ、中学生男子の50メートル走以外は昭和60年度の水準に戻った種目はなく、立ち幅とびではほぼすべての年代で10年度と比べて横ばいか低下など、向上傾向のない種目もあった。調査に携わった順天堂大の内藤久士教授(運動生理学)は「小さいころから外で遊ぶ機会が少ないため、複雑な一連の動きが不得意なのではないか」と分析した。
 運動能力について、20年度から実施の国の教育振興基本計画では「5年間で60年度の水準へ回復」としているが、文科省は実現困難とみている。新学習指導要領では、小中学校の体育の授業も増えることになっているが、内藤教授は「学校だけでは限界がある。交通機関も発達し、便利な現代社会では、体を動かす機会は減っている。週末や放課後に、体を動かす自由な時間がもてるようにするべき」と指摘している。」
以 上
     参考答案例では,「現在,子供の運動能力の低下が問題となっているが,本調査においては,50メートル走の記録の改善が見られたことが分かった。この調査の結果をどう考えるべきか。」となっています。これは,調査結果をどう考えるかという漠然とした問いですが,一応①のパターンです。②のパターンで書くとすれば,「この記事について,私の意見を以下述べる」という形になります。この場合は②のパターンだと,反対意見を考慮する際にもう一度問題提起が必要になるので,迂遠です。このような問題形式の場合は,①のパターンが最適と言えます。

 

(4)添削課題③
時代と共に,スポーツには流行廃りがあります。
1960年代はテニスが,1970年代ではジョギングが,1980年代ではエアロビクスが,1990年代ではアクアフィットネスが流行っていました。
では,2000年代は何が流行っていたと思いますか。
流行っていたスポーツを答え,その理由を述べなさい。
(800字以内・制限時間1時間)
     参考答案例は,「時代と共にスポーツには流行があるが,私は2000年代もアクアフィットネスが流行していたと考える。その理由は以下の通りである。」と成っています。これは②のパターンに近いでしょう。
     この問題については,流行のスポーツを答え,その理由を述べるだけですので,①のパターンで書き出すのが少し難しいです。もっとも,「私は○○が流行っていたと考える。しかし,○○や○○などが流行っていたという考えもある。では,流行していたか否かはどう考えるべきか」などと,YES・NOに引きつけて問題提起をすることも可能です。


 (5)添削課題①
 1 『女性とスポーツ環境』(石田良恵著・2005年・モダン出版)110頁~112頁「女性は男性の記録を超えられるか?」を読んで,女性が男性の記録を超えることができない理由を要約し,女性としてはどのようにスポーツと関わっていくべきか,あなたの意見を述べなさい。(1時間・800字)
  
     参考答案例は,「本記事にあるように,身体的特徴という変えようのない事実によって,女性は男性の記録を超えることはできない。では,女性はどのようにスポーツと関わるべきなのか,考えてみたい。」となっています。これは②のパターンです。「高齢者とスポーツの関係」の部分でも検討しましたが,問題文がかなり抽象的なので,「どのように関わるか」というテーマそのものを問題提起に利用した形になっています。
     この場合は,先に自分の考えを示して,「私は,女性は男性と競うのではなく,女性同士と競うという形でスポーツと関わっていくべきと考える。その理由は以下の通りである。」というパターンで,①のように書いていくことも可能です。反対意見として,女性も男性と競うべきだという意見を採り上げることになります。


 (6)添削課題②
 2 中高年に向くスポーツ,向かないスポーツをその理由と共に述べなさい。(1時間・800字)

     参考答案例は,「中高年は,競技としてのスポーツよりも,健康維持のためのスポーツという側面が強い。身体的には若者より弱っており,競うという側面が少ないからである。私は,中高年に向くスポーツは,アクアフィットネスやゴルフ,ウォーキングなどだと考える。なぜなら,中高年には血圧が上昇するような無酸素運動をすることは生命の危険もあり,妥当ではなく,ウォーキングのように,ゆっくり行い,身体に急激な負担をかけないものが最適だからである。」という形で,問題提起をしていません。このような問題形式の場合は,理由とともに自分の意見を言えば十分だからです。
なお,この後に私見を必ず述べるわけですが,私見は問題提起をするのではなく,自分がそう考えた理由を敷衍して述べていくだけで十分です。具体例や歯止めなどを書けば必要十分です。


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