アマチュア無線のHF(短波)帯での運用を始めてから4か月が経とうとしています。

FT8と呼ばれるデジタルモードでの運用が主体となっていますが、初期の頃はとにかく「回り込み」と呼ばれる現象に悩まされました。

 

 

 

FT8では無線機とPCをUSB接続して交信の制御を行うのですが、自分の出した電波がUSBのケーブル経由で妨害を与えてしまいUSB接続が切断されたり無線機が制御不能になったりするためまともに交信ができませんでした。

そこでネットの情報などを参考にして

・極力短いシールド付きのUSBケーブルを使用する

・USBケーブルに所謂パッチンコアを取り付ける

・USBアイソレーターを使用する

等、USBケーブル側の対策をとってきましたが、いずれも対症療法の域を出ず多少効果はあったものの根本的な解決には至りませんでした。

最終的に劇的な効果があったのはソーターバラン(フロートバラン)。

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これまたネットで見た作り方をそっくり真似して(OMさんに感謝です)庭に張ってある自作ダイポールアンテナの給電部に入れたところ、回り込みの障害はほぼ完全に消失。

結局、本来アンテナから放射されるべき電波が、本来放射されるべきでない伝送路である同軸ケーブル(室内から!)からも放射されていたことが元凶だったという結論。

試行錯誤しながらで結構な時間と労力を割きましたが、トラブルシュートの過程で実にいろんなことが勉強できましたので、これはこれで良い経験になったと思ってます。結果的に不要輻射の問題も解決できたし。

 さて、上で「ほぼ消失」と書きましたが、これでもまだ解決できない問題が残っていました。

HFの各バンドのうち、28MHzでの回り込みだけがどうしても解消できません。

家でも野外での移動運用でも、送信すると必ずUSBの接続が切断されてしまいます。

そこで目を付けたのはWi-Fiによる無線機のコントロール。

USBケーブルが妨害を受けるならUSBケーブルを使わなきゃいいんじゃね?ということです。

私が使用している無線機(ICOM IC-705)は無線LANで制御できる仕様ですので、適切なソフトウェアを使用すればUSBケーブルを使用しなくても同じことができることになっています。

調べてみるといくつかのフリーソフトの組み合わせで、Wi-Fiコントロールができるとのことなので、トライしてみました。

結果、なんとか受信まではできるようになったのですが、送信の変調入力がどうしてもうまくいかず断念。後で判ったのですが、最新バージョンの問題だった可能性があり、もしかすると旧バージョンなら正常に動作したのかも。

ただまあ、前述のように複数のアプリケーションを組み合わせて使う必要があったりと、若干面倒な部分もあったので、自分的にはその辺がイマイチ。



 そんなわけで、素直にメーカー純正のネットワークコントロールソフトであるICOMのRS-BA1を購入。

結論から言えば「最初からこれを買っておけば良かった」(笑)

まず、回り込みの問題は完全に解決。もちろん28MHzも問題なし。

純正品だけあって、インストールも設定も動作も簡単で安定動作します。

自宅でもデスクトップPC+JTDXの組み合わせで常時使用していますがWi-Fiは勝手に接続されるのでストレスも感じません。

回り込みの問題もそうですが、Wi-Fiのもうひとつの利点は当然のことながら邪魔くさいUSBケーブルが必要なくなることです。

自宅でも野外でもPCと無線機が物理的につながっていないので、置き場所のレイアウトが自由にできますし、そもそも無線機のUSBポートがtypeBなので頻繁に使用するには耐久性に不安がありました。

野外でFT8を運用する場合は、無線機のGPSを使用してPCの時刻合わせのために一度はUSB接続する必要がありますが、その後は外しておけるためうっかり引っかけたり等の事故の可能性も低減できます。

ちなみに総通へ届け出については実際に総通に電話して聞いてみたところ

・自宅内で遠隔操作する分には届け出不要

・同様に、モービル等で車内で遠隔操作する場合も不要

・私が想定する、登山してその場でWi-Fi接続して運用する場合も届け出不要

とのことでした。

インターネット経由などで、全然別の地点から無線機をコントロールする場合は届け出が必要ということのようで、今回のように

「USBケーブルの代わりにWi-Fi接続」みたいなのは遠隔操作の範疇には入らないようでした。

まあ心配な方はご自分で確認してみてください。

とうことでICOMの回し者ではありませんが(昔から好きなメーカーですが)、回り込みに悩まされている方、USBケーブルが鬱陶しい方は検討されてみてはいかがでしょうか。