伝説の灘校国語教師・橋本武さん関連本3冊読みました! | がんばる地上の星たち!高知と松山のまんなか・仁淀川町

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土佐の山間・仁淀川町(によどがわちょう)の(元)地域支援企画員の日記!

 

 

 

 

灘校といえば、現在屈指の進学校であり、もはや全国的な超有名校である。

戦前は「すべりどめ校」であったのが、昭和30~40年代において、そして現在においても押しも押されぬ超進学校、東大合格者日本一は昭和43年に成し遂げている。

 

どうして、そうなれたのか?

 

そこには一人の教師「橋本武」という熱血・国語教師がいたからである。

大げさでなく”いたから”と言えるのである。

 

 

 

今回は、この橋本武さんという灘校(中高一貫)におけるその国語教育をひも解いてくれている本を3冊読んだ。

 

ひとつはこの教育方法を第三者目線で書いた本

伊藤氏貴さんの

奇跡の教室

である。

 

ふたつめは、この教育を受けた当時の学生が書いた本

テレビではおなじみの黒岩祐治さんの

恩師の条件

である。

 

みっつめは、この教育を灘校で実践した本人・橋本武さんが書いた

一生役立つ学ぶ力

である。

 

 

国語授業というと普通は文科省の定めた指導要領に沿って行われる。そして、それを勉強した学生たちはその中で得た知力でもって受験し、そして大学等で学び、社会に旅立っていくのがまあ普通である。

 

しかし、橋本先生のやり方は、全く違う。

 

 

それは、一冊のうすい文庫本・小説「銀の匙(さじ)」を中1から3年生までの間に読み込む

という授業スタイル。さらに付随して、ここが肝であるが、先生が編み出した「銀の匙研究ノート」がその授業の子どもたちへの興味、面白さ、奥深さへと誘ってくれるアイテムとして存在した基本となっている。灘校は戦前、新進気鋭の私立であり、自由な授業を持ち込むことがよしとされたゆえの、しかし逆に責任も伴う重大な独自授業展開がここにあったのである。

 

この一冊の文庫と言ってもそれは、私自身は読んでないけれど、東京下町の日常の家族の様子(内容は作者・中勘助の子ども時代がモチーフとのこと)を細やかな描写で捉えた内容ではあるが、そのちりばめられた何気ない言葉、動作、伝統行事。。。などなど、子どもたちの探究心をくすぐりながら、おおいに横道にそれ、学生たちは主人公たちの想いや行動を追体験してくのである。これこそ究極のスローリーディング!(先生はそんなことを当時全く意識はしていませんが)なのである。

 

この「横道にそれる」授業がいわば本質にある。

文庫に出て来る言葉をとらえ、そこから、さまざまな疑問からそこに体験・探求を通じて、調べ、書き、議論し、超越した世界を子どもたちに提供したのである。

 

この3冊にはぎっしりとその辺りのことや、そもそもなぜ、このような授業をやろうとしたのかの動機、いきさつ、作者・中勘助との関係、学生側(黒岩氏)の受けた授業での体験を通じた内容とその具体的な感想とともに今の課題までも見えて来る。極めつけはやはり、橋本先生の自信が伝える当時のなまなましい記憶とその授業への熱情を感じられることである。なぜ、そんなことができたのかは本書に書いています。それは先生自身の身の上、経験、人間性、趣味性などおおいに影響もしています。

 

橋本先生いわく「教師は人生そのものを子どもたちにぶつけていった」と書かれていたが、まさにその感じである。それが伝わったのである。結果、子どもたちに伝わったものは偉大である。こんな授業、受けたくて今は無理であり、当時でもそんなに多くはないが、本書にもあるその後の卒業生の行方は立派なものであり、社会の中で重要な人材を育てたといえるだろう。凄すぎます。心に残る授業を目指し、人に生きる力、学ぶ力を育てた。

 

ああ、こんな授業、みっちり受けてみたかった!!

 

いま、この本たちを読み終えて思ったことは、子どもを持つ親として私も家庭の中でできることは何だろうかと思った。

そう、読んだ絵本、少年文庫の内容を追体験をさせてあげること、一緒に学んでいくこと、子どもの興味関心を引き出すためにいつも広く私自身もいろいろと体験し勉強していくことも大切だと思った。多趣味、乱読は大いに歓迎すべきところと先生も勧めていますね。先生自身がその点、すごいのである。

 

 

超のつくオススメ本たちに出会えて感謝である!

 

 

 

SEE YOU!