徳行品第一 #4 「転法輪」 | 仏教のこころ

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●無量義経徳行品第一 #4

 第一 通序 「転法輪」


●概要

菩薩は、智慧を得ているので、人々の個性に応じた教えを伝えることができる。


●現代語訳

また、菩薩は、人々の機根や性格、欲望をよく見極め、善をすすめ悪を止める力と、人々を説得する力によって、諸仏の教えに従い、その教えを人々に伝えることができた。


●訓読

また、善く諸の根性欲を知り、陀羅尼・無礙弁才を以って、諸仏の転法輪、随順してよく転ず。



●真読

又善能知。諸根性欲。以陀羅尼。
うぜんのうち。しょこんしょうよく。いだらに。

無礙辯才。諸仏転法輪。隨順能転。
むげべんざい。しょぶつてんぽうりん。ずいじゅんのうてん。



●解説

相手の状態を観て、相手に応じて教えを説くことが仏教の大きな特徴といえる。人はそれぞれに、性格・欲求・夢・希望・趣味・職業などが違う。教えを聞いてそれを理解し、行動を起こす能力(機根)も違う。そのような相手の根性欲(機根・性質・欲望)を見極めて、諸仏・諸菩薩は教えを説かれた。相手の根性欲に対して説法をしたので対機説法という。このことは、『説法品』のテーマであり、法華経の重要なテーマでもある。



●用語の意味

○根性欲 (こんじょうよく)
機根・性質(習性)・欲望の略。
機根とは、教えを理解し実践する能力のこと。対機説法の「機」とは、機根のこと。


○陀羅尼 (だらに)
(梵) ダーラニー "dhaaraNii"
記憶して忘れないこと。本来は、仏教修行者が覚えるべき教えや作法などをしっかりと記憶することを言ったが、後に変じて、「記憶する呪文」のことをいうようになった。意訳して総持・能持・能遮ともいう。能持とは諸々の善法をよく持つことであり、能遮とは諸々の悪法をよく遮ること。


○無礙(むげ)
障害、妨げのないこと。


○弁才(べんざい)
巧みに話す能力のこと。


○転法輪(てんぽうりん)
教えを説くこと。



~無量義経徳行品第一 #4