黒蜥蜴、初めて観ました。
6月にお亡くなりになった美輪明宏さんの代表作として知られる作品ですね。
三島由紀夫が美輪さんのために台詞を書き、
美輪さん自身も演出を手掛けたと言われる、耽美派演劇の代表作のひとつ。
いつか観てみたいと思っていましたが、今回、宝塚で初めて観劇することができました。
感想ですが、私としてはとてもミュージカルらしい作品と感じました。
人物の配置や動き、舞台美術まで、王道のミュージカルの様式美が散りばめられていました。
黒蜥蜴役は、今のトップ娘役では春乃さくらさんしか演じられないのではないでしょうか。
102期生で脂が乗り切った時期。
前トップ・芹香斗亜さん、そして現在のトップ・桜木みなと(ずんちゃん)と、
二代続けてトップ娘役を務めてきた経験もあります。
今回の黒蜥蜴は、ただ美しいだけの女性ではなく
策謀に長け、頭の切れる女性。
そして明智小五郎の言葉を借りるなら、
「心はブラックダイヤ」のようにピュアで硬質な女性です。
そんな彼女が心を奪われた相手が、ずんちゃん演じる明智小五郎。
恋に落ちたというより、自分と同じ知性を持つ相手、その能力に惚れたのだろうと感じました。
ただ、この役を演じるには、春乃さくらさんはまだ少し若いのかもしれません。
黒蜥蜴が持つ妖艶さ、強さ、脆さ、そして狂気。
そのすべてを表現するには、もう少し人生経験も必要かもしれません。
いつか、さらに経験を積んだ春乃さくらさんが、もう一度黒蜥蜴を演じる姿を観てみたいものです。
きっと今回とはまた違う、さらに深みのある黒蜥蜴になるはずです。
そう思わせるほど、この作品は春乃さくらさんの代表作になる予感がしました。
ラスト近く、長い黒いトレーンを引きながら倒れる場面。
その姿そのものが、一匹の黒蜥蜴でした。
いやあ、本当に良かった。
悪女って、いいんですよね。
悪女っていますが、悪女なのに人を惹きつける女
なかなかいませんよね。
そうそう、ダンスがとても上手い組子さんも何人かいたのですが、
後方の席だったので誰だったのかまでは分かりませんでした。
そもそもあれほど組子全員まで把握していた宙組ですが
今は昔になってしまいました。
ところで、この作品。
昔、学校の書棚で読んだ記憶があるんです。でも内容はすっかり忘れていて……。
ところが、「美しい人間を人形にして愛でる」という場面になった瞬間、
「あっ、これだ。」
と、突然記憶がよみがえりました。
結構ガキンチョの私にはセンセーショナルな内容だったみたいで、この場面を覚えていたようです。
学校の図書館にある江戸川乱歩作品読みましたね。
乱歩というペンネームも、敬愛するエドガー・アラン・ポーに由来しています。
ミステリーでありながら、どこか妖しく、美と狂気が同居する世界観。
『黒蜥蜴』にも、その乱歩らしさが存分に詰まっていました。
ミュージカル・ロマン
『黒蜥蜴』
原作/江戸川乱歩 戯曲/三島由紀夫
潤色・演出/生田 大和
名探偵・明智小五郎と女賊・黒蜥蜴。二人の織り成すスリルに満ちた追跡劇のなかで、追う者と追われる者の間にいつしか芽生える孤高の“愛”……。
江戸川乱歩によって生み出され、三島由紀夫によって戯曲化された「黒蜥蜴」は、様々なキャスト・演出で繰り返し上演され、宝塚歌劇においても2007年・花組公演で挑戦した、日本の演劇史上に燦然と輝く金字塔といえる作品です。
今回、2026年宝塚大劇場・東京宝塚劇場宙組公演では、江戸川乱歩が紡ぎ出し、三島由紀夫が戯曲へと昇華させた作品の世界観を軸にしながら、宝塚歌劇ならではのロマンティシズムと、スケール感溢れる大胆な潤色で、桜木みなとを中心とする宙組公演として、新たな『黒蜥蜴』に挑みます。
……終戦を経て、高度経済成長期を迎え、今再び華やかなりし栄華へ向かおうという首都・東京。戦後復興の、その勢いを象徴するかのような、開業して間もない東京タワーの人工的な煌めきが、夜空に燦然と輝いていた。
その光の届かぬところ、“魔都”の影ともいえる暗黒街を賑わす二人の人物がいる。一人は探偵・明智小五郎。警察組織さえもてあます、難事件の数々を真相へと導いてきた彼の活躍により、首都の平和は人知れず守られてきた。そして、もう一人。未だその正体も、所在も知る者のいない盗賊・黒蜥蜴。
目抜き通りがイルミネーションに華やぐクリスマス・イブの夜、二人の運命が交錯しようとしている……。
