オーストラリア出身のロン・ミュエクは、もともと子ども向けテレビ番組や映画のパペット制作、広告業界のモデルビルダーとしてキャリアを積んだ異色の経歴を持つ現代彫刻家です。1990年代半ばから現代美術の世界へ移行し、特殊効果の技術を応用した驚異的なリアリズム表現で世界的な名声を築きました。
彼の最大の魅力は、シリコンやファイバーグラス、人毛などを用いて人間の皮膚の質感、産毛、血管、皺までを執念深く再現し、生々しい存在感を放つ点にあります。さらに、作品の多くが実物より遥かに巨大であったり、逆に極小であったりという極端なスケールで作られているのが特徴です。この圧倒的なサイズ感は、見る者に新鮮な驚きを与えるだけでなく、私たちが本能的に抱く「圧倒的な他者への畏怖」や、言葉にならないプリミティブな感覚を呼び覚まします。
30年以上のキャリアでありながら制作された作品数が非常に少ないことでも知られており、効率やスピードを重視する現代社会において、1点に膨大な時間と手間をかけるスタイルは独自の存在感を放っています。写真や動画では伝わりきらない、実物を前にしたときの圧倒的なフィジカルな体験こそが、多くの人々を引きつけてやまない理由です。
枝を持つ女
インベット
圧倒的なスケールの女性の傍らに立ったとき、
もしかして母親の胎内では子供は親をこのように見ているのかという感覚になりました。
カップル
後ろを見ると
前から見る仲睦まじそうなカップルとは意味が違って見えます
愛着や保護欲求の裏返しなのか、
あるいは束縛やコントロール(支配欲)の「レッドフラッグ(危険信号)」なのか、
見るものに委ねられますね
ゴースト
長い細い脚に、男性のような足がついていて
これも意味が深そうですタイトルも「ゴースト」
アーティストの仕事場ってワクワクしますね
ロンミュエクのスタジオ2005−2013
船の中の男
全裸という最も無力で無防備な状態な男が、オールも持たずに、古びたボートに乗っている。
社会から完全に孤立し、身動きが取れなくなった無防備な男の姿なのでしょうか。
ダークプレイス
チキンマン
この体制から見て、鶏が優位な気がしますね。
鶏がババっと走って
男の顔を一蹴りして、男は頭を抱えてひっくり返る
そして舞台から落ちる
って感じです
買い物中の女
これは聖母子像の現代的な解釈と書かれていましたが
そう意味で見てみると
買い物袋は、十字架
疲れ果てた普通の女は現代の聖母に見えてきますね
現代の聖母は疲れているんです
マスクⅡ
これは現代の能面かなと思いました
みんな面を被っていて、役によって使い分ける
能面の感情はそれをみている人に委ねられます
マス MASS
老若男女問わず、髑髏となれば皆一緒ですよね
それを、こんなふうに展示されると、怖いを通り越してユーモアも感じてしまいます
ロンミュエクの制作風景のビデオを上映していました
細い髪の毛一本一本を植え込んでみたり
作ったはずの物をガッサリ壊してみたり
とても見応えがあり
ずっとみていたら、ものすごくお尻が痛くなりました
このかたの作品は十和田美術館のスタンディングウーマンを拝見したことがあります。
寡作な方ですので
このようにまとまって鑑賞できて感想は
「私たちって、みているようでみていない」です
彼のリアリティを追求した作品を見ることによって
人は細部を観察する
圧倒的なリアリティは、
無関心だった私たちの目を強制的に開かせるための強力なスイッチになっているのかもと思いました

































