昨日は勤めるゴルフ場の
オープンコンペ。
広く出場者を募り、競技を行い、優勝者、飛び賞、様々な賞品を用意してお客さまに喜んでいただいている。
昨日は人気の
グレープオープンコンペ。
プレー終了後、お客さまのバッグをお渡ししてお見送りをするポーターをしていた時のこと。
二人のお客さまから、
自分もガンだったと、カミングアウトされた。
お一人は、わたしと同年代のDさん。
小柄で細身、ハーフと間違われるという美貌は衰えることなく、いつもキラキラしている。
ゴルフに対する熱意も衰えることなく、
「年を取って、ドライバーが飛ばなくなったし、レッスンプロについてスイングの改造してるのよ」
こんなことを、しれっと言ってのける。
「Dさんいつも女性の部優勝にからんでるくらいに上手いし、(現状維持でも)いいじゃないですか」
「ううん、それじゃあイヤなのよ。もっと飛ばしたいの」
これを聞いて以来、この女性を尊敬してるのである。
昨日もいらしているのは分かっていたけれど、わたしのかつらにどんな反応するか(親しくしている方には、「斎藤さんだぞ」と伝えている)
ちょっと気になり遠巻きにしていたのだ。
ポーター室で会うなり、
「あら、髪切ったのね?誰だかわからなかった。うん!似合う!」
ピノ子←(会計Kちゃん命名 )にうれしいことを言ってくれる。
ちょっと考えて、「病気があって薬を変えたら、髪が抜けちゃって、いまウィッグなんです」
「え?わからなかった。似合ってるよ。可愛い!」
そして少しの間をおいて、
「わたしも10年前に乳ガンで全摘したのよ。抗がん剤もやったけど、髪は抜けなかった。
今は素敵なウィッグあるからいいわね」
全くそんな素振りも見せないし、(今新たに気になる所があって検査に行っているとのこと)元気でおしゃべりが大好きで、おしゃれなDさんにそんな過去があったなんて。
「その時ね?父も母も存命で、週に4日はめんどうを見に行ってたの。ガンに捕らわれているわけに行かなかったのよ」
当たり前のことだけど、「わたしはガンです」なんてレッテルを貼り付けて日常を送っているわけではないし、その人にどんな病気があるなんて分かりはしない。
あまりに意外な方からカミングアウトされて、びっくりしたけれど、2年前に胃がんの手術をしてから、「俺もやったよ。同じ病院。あそこの外科チーフ面白いよな?」とか、
「俺も胃がん。食べられなくなってつまらないよ」とか、けっこう多くの方からカミングアウトをされて、日本人の二人に一人って、本当なんだなあと思ったりしてた。
「大丈夫!病気の顔してないもん!ウィッグも似合ってるし笑」そう言ってDさん帰っていかれた。
もう一人、カミングアウトされたのがZさん。
メンバーさんではあるけれど、いつもはご挨拶するくらいで、お話したことはなかった。
ポーター室にやって来られ、外にお出ししたバッグを車に積まれると、
参加賞やゲームで当てられた品物を取りに戻ってきた。
その中から、ワイントンポークカレーをわたしにくださると、ニコニコしながらわたしに話しかけてきた。
「今日イーグル取ったんだよ」
嬉しそうに話すZさん。
イーグルって、4回(5回)ボールを打って入れるのを目標としているホールで2回(3回)で入れちゃうこと。めったに起こる事の無いプレー。
「わーー素晴らしいですね!」
「どこでですか?15番ホールですか?」
「いや2番。グリーン行ったらボールが無くて捜しちゃったよ」
そのあと、今日のプレーがパープレーであったことを説明下さり、一段落したところでおっしゃった。
「俺、80なんだよ。ゴールドシニアから打ったから、距離は短いんだけどね?」
いやいや、どこから打とうがパープレーはすごいこと!
「80才には見えないです!」←実際60代にも見える細身の筋肉質で、背筋真っ直ぐ、会話も滞る事無い。
そんな話をしていると、
「俺、肝臓ガンもやったんだけど、治療後ガンが消えちゃったんだ」
とおっしゃるではないか!
消えちゃったーーー?
そんなことあるんかい?
「どうやって消えたんですか?」←切実笑
「ガンだって言われて死ぬことも覚悟したけど、好きなことはやめなかった。ゴルフもそうだしね。」
「だから消えたんだな」←個人の感想であり、効果を保証するものでは無い。
奇しくも二人の方にカミングアウトされて思ったのは、
ガンを宣告されるということは、より良く生きるということなんだなあ、
より良く生きると言うことは、より良く死ぬということなんだ。
死んじゃうまでは生きてるんだから、わたしもより良く生きようと思った出来事です。