がんにかかったことのある人なら、誰でも悟りの境地を体感するのではないかな。
ある日、なんの前触れも無く、若しくは何かの前兆を感じながらも「これは夏バテだろう」あるいは、「ストレスたまって疲れているのだろう」と思うわたし(ぼく)に告げられる
「あなたはがんにかかっています」
ドラマなんかだと、ショックを受けて言葉を失くす男性とか、泣き出す女性とか、いささか大げさな行動を取る人間を描き出している。
実際はどうなんだろう。
内視鏡検査でがんが確認され、すぐの手術を勧められたわたし。「ちょっと待ってもらえませんか?」
「待っている時間はありません」医師の返事。
あーーーわたし死んじゃうんだーーボーッと感じるわたし。
そこからはすぐに手術の日を決め、入院の手配をし、入院に際しての注意点を聞き、のんびり悲しみに浸ってる暇はない。(掃除や会社への通告、兄弟知り合いへの連絡。やることいろいろ)
栄養補給の点滴のために寝かされたベッドの上で、初めて涙が溢れてきた。(泣いたのはここだけ)
こうやって事務的に進んで行くものだから、ドラマみたいに担当医師を前に「わたしの余命はあとどれくらいなんですかあ~~~」なんて状況は生まれにくい。
待合室には、いっぱい患者が待ってるしね。
こういう時間の中で、がん患者は少しずつ悟りを開くんじゃないかな。
生きたい、けど生きられないかもしれない。
じゃあどうする。どうやって生きる。
生きることは死ぬことといつも結び付いている。
下らないことに関わっている時間は無い。
