たそがれ館へようこそ -37ページ目
日曜日の大河ドラマ「べらぼう」
最初はそんなに期待していなかったんです。
でも、話が進むにつれて
謎が多くなってきて
出演している俳優さんたちの演技も
すごく熱がこもっていて
今では毎週欠かさず見ています。
特に先週の15話「死を呼ぶ手袋」は
まるでミステリードラマみたいでした。
内容は、徳川家の10代将軍である家治の嫡男
家基がわずか18歳で鷹狩りをしている最中に
突然亡くなってしまうというもの。
しかも、その真相は今も
はっきりわかっていないのです。
徳川家にこんな歴史があったなんて、
全く知りませんでした。
これから、ますますスリリングな
展開になっていく予感がします。

本編が終わった後に
ドラマの舞台になった場所などを紹介する
5分ほどのミニ番組「べらぼう紀行」が
ありますよね。
そのバックに流れている
ノスタルジックで和やかな音楽を聴くと
はっと目が覚めるような気持ちになります。
この音楽は何だろう?
あまり知られていないクラシックなのかな?
と気になっていました。
調べてみると
ドラマの音楽を担当している
ジョン・グラム氏のオリジナル曲で
メインテーマをアレンジしたものだと
わかりました。
懐かしさが胸に迫る感じで
本当に名曲だと思います。

「おばあちゃん、話せるの?」
以前と変わらない
いつもの優しい祖母がそこにいた。
この危機的な状況で
正気を取り戻したのだろうか。
「こっちに行った方がいいよ」
と祖母は言った。
「そうだね」と麗華は答えた。
「おばあちゃんはずっとここに
住んでいるんだもんね。
中のことをよく知っているんだ。」
少し先に洗面所があったので
そこでさっきの男が
通り過ぎるのを待っていたが
足音は途絶えた。
どこへ行ったのだろうか。
どうしよう。

暗い通路を
祖母の車いすを押しながら進んだ。
すると急に後ろから
カツカツと複数の人が走る音が聞こえた。
「どうしよう」
と麗華が決めかねていると
祖母は「そこに仮眠室があるから」
と言ったので
とりあえずそこに隠れることにした。
中は真っ暗で
唯一緑の誘導灯だけが見える。
麗華は祖母の車椅子の隣に
ペタンと座り込んだ。
誰か知っている職員さんが通りかかって
気づいてくれないかしら。
誰か助けに来てくれればいいのに。
誰か…誰か…。

ドアの前に人が立った気配がした。
(あー、鍵をかけていなかったわ。
もし悪い人だったら)
息が詰まるような瞬間だった。
ドアが少しずつ開き
闇の中に光が差し込んできた。
今回はここまでで連載は終わりです

コツンコツンと靴音が響いたので
麗華は後ろを振り返った。
一人の男のシルエットがぼんやり見えた。
「あれ?」と麗華は思った。
こんな時間に、こんな場所に
誰がいるんだろう。
祖母の病室は廊下の奥の方にある。
ここまで来る間
他の病室から人の気配は全くしなかったのに。
その人影は
まるで麗華たちを追いかけてくるみたいに
少し不気味な足音を立てて近づいてくる。
考えすぎかもしれないけれど
なんだかゾッとする。
廊下の突き当たり
左右に分かれる場所に来た。

左手は明るく広いホールに続いている。
右手は角を曲がると
狭くて暗い廊下が続いている。
とっさに麗華は右に曲がった。
本当は、明るい左のホールの方が
庭への出口に近かったのに。
でも、もし後ろの人影が
本当に麗華たちを追ってきているなら
明るい通路では丸見えになってしまう。
右手の暗い廊下なら
少し隠れることができる場所もある。

「これで遠回りになっちゃったな…」と
麗華は小さくため息をついた。
その時、急に横から声が聞こえた。
「どうしたの?」
驚いて振り返るとそこにいたのは
今まで話せなかったはずの祖母だった。
「おばあちゃん、話せるの?」

