月・木・土に投稿予定です
だいぶ間があいてしまいましたね。
これまでの話をざっと振り返ると……。
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耀は大学卒業後、家業を継ぐ前に
小さな会計事務所で働き始めました。
当初は人間関係も良く
温かい雰囲気の職場だったのに
皆のまとめ役だった先輩が辞め
新しい人がはいることで状況が一変しました。
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新しく採用されることになった
日和田の情報が耳に入ると
鰐口は青くなった。
そして怒りが
だんだんとこみ上げてきたらしく
大声で息巻いた。
「あいつには絶対何も教えるな」
鰐口に歳が近い同僚、中島は
聞こえなかったふりをし
若手二人は驚いて目を見張り何か言いたげに
「いいい~」と口をゆがめた。

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日和田は噂では
税理士試験の5科目のうち
すでに3科目取得しているという。
働きながらあと2科目取れば
晴れて税理士登録できるわけだ。
鰐口は40歳という年齢で
実務経験は長いが
特に資格は持っていない。
勉強したりテストを受けたりするのが
得意ではないらしい。
「あいつには
この事務所のことは何も教えるな」
というのも、どんなに会計の知識が豊富で
前の職場で実務経験を積んでいても
新しい職場に変われば
パソコンの使い方や、顧客情報
どこにどういったファイルを
置いてあるかが分からなければ
仕事のしようがないからだ。
「いったいこれからどうなるのだろう。
今までは楽しい職場だったのに」
耀は先行きが不安だった。

はたして日和田が来た初日
事務所は異様な雰囲気に包まれた。
口下手な所長は
日和田の紹介だけすると
「じゃ、あとは任せたよ。
皆でよろしくやってくれたまえ」
と言って所長室に引っ込んでしまった。
面倒見の良い先輩がいた時は
それで良かったのだ。
何かわからないことがあれば
親切に教えてくれたし
職員の間の調整もうまくやってくれ
皆それに従った。
でも今は違う。
職員だけになった室内は
誰も何も喋らず
空気がぴんと張り詰めていた。
日和田は、自分があまり歓迎されてないと
すぐに察知したらしく
おどおどした表情を浮かべていた。