「らーめん亭」は九鬼の差し金により

取引先や関係各所から

少しずつ締め出されるようになった。

 

 

長年付き合いのあった業者でさえ

例外ではなく

気づいたときには

孤立無援の状態に追い込まれていた。

 

 

今まさに瀬戸際に立たされ

相手の手に落ちる寸前だった。

 

 

伯父は反対したが

耀と浩は一か八かの賭けに出た。

九鬼と接触を図ろうと

九鬼が経営しているレストラン

「上海ルネサンス」に乗り込んだのだ。

 

 

そこで受け取ったのは

「九つの龍を探せ」という

不可解なメッセージ。

 

 

二人は半信半疑のまま

謎を解く鍵を求めて

中華街を奔走することになった。

 

 

「もう一ヶ月ほど経つのに

何の音沙汰もないね」

浩がポツンとつぶやいた。

 

 

「あれは、おかしなゲームだった。

何か意味があったのだろうか」

耀もどこかふさぎ込んだ様子で言う。

 

 

店を閉めた後、百雄伯父と耀

そして浩の三人は

静まり返った店内でテーブルを囲んでいた。

 

 

「途中までは間違っていなかったと思うよ。

そのたびに次のヒントが届けられていたんだから」

耀がゆっくりと言葉を選んで言う。

 

 

「でも、後をつけられていたと思うと

気味が悪いけれどね」

浩は肩をすくめる。

 

 

デパートに行って

ドラゴン列車を見つけたあの日を境に

使者からの連絡はぴたりと途絶えた。

一体どういうことだろう。

 

 

 

「実は、九鬼は一週間ほど前に家に来たんだ」

百雄伯父は言いにくそうにしぶしぶ口を開いた。

 

 

「えっ。おじさん。また黙っていたの」

「何でも話してって言ったじゃないか」

耀と浩は次々に声を上げた。

 

 

百雄伯父は返事をせず

代わりに折りたたまれた一枚の紙を

そっとテーブルの上に置いた。

 

 

二人が不安そうに紙を開くとそこには

次のように書かれていた。

 

 

「君たちは九つの龍を探し出せただろうか?

こちらで確認できたのは以下のとおり

 

 

    

 1龍の形をした手水舎

 2龍のレリーフ模様の壁画

 3セントラルデパートのドラゴン列車

 4(?)気づいてもらえたかな


 

 

二人は息を呑んだ。

4番目があったんだ!

 

 

2022年の記事を編集しての

再投稿になります。

以前の記事は少しずつ

非表示にしていきます

 

 

 

 

 

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その「らーめん亭」の先行きに

暗雲が立ち込め始めてきた。

九鬼と言う林家にまとわりつく

影のような存在がいろいろと

罠を仕掛けてきたのだった。

 

 

少なからず予兆はあったのだ。

たびたび無言電話がかかってきたり

偽の注文があったりと

古典的な嫌がらせが繰り返され

見るからに怪しげな風態の男が

店の回りをうろついていた。

 

 

 

何かある。

何か良からぬことが

店の周辺で起こりつつあると

店のスタッフ全員が感じていた。

 

 

「関係ない。気にするな」と

伯父は取り合わなかったが

スタッフの一人が

小耳にはさんだ情報によると

 

 

「どうやら地上げ屋が動いている。

このへんの店を買い取ろうとして

いろんな嫌がらせを仕掛けてくるらしい」

という事だった。

 

 

そんな話を聞いても

耀も浩も本気で心配することなど

なかった。

 

 

 

おじさんが大丈夫って

言っているんだから大丈夫。

中華街で四代

九〇年にも渡って続いてきた老舗の店が

そう簡単につぶれるわけがない。

 

 

僕らの店にはあり得ない。

「らーめん亭」は永遠だ。

 

 

そんな楽観主義は、いとも簡単に覆された。

 

 

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「らーめん亭」は伯父の林百雄が

オーナー兼料理長を務める

中華街でも屈指の人気料理店だ。

 

名前からもわかるとおり主なメニューは

10種類以上のらーめん(支那そば)。

 

 

目抜き通りから少し入った奥まった場所にあり

常連客が多く、昼も夜も賑わっている。

 

 

耀は東京の大学卒業後

いったんは就職したが戻ってきた。

「らーめん亭」で働き始めて今年で2年目

伯父の片腕を自称しているが

今はまだ厨房見習い、鋭意修行中の身だ。

 

 

「まだまだ浩とあわせてやっと半人前」

と伯父は笑うが

耀はゆくゆくは自分が跡を継ぐつもりでいる。

伯父もそれを望んでいるはずだ。

 

 

 

そもそも「らーめん亭」は

初代が九〇年前に

中華街で店を起こしてから

子どもたちが代々引き継いできた

ファミリービジネスだ。

 

 

基本的に親族経営の店で

順番からいうと耀ということになる。

 

 

なぜ父ではなく伯父なのかというと

耀と妹の麗華の両親は

二人が幼い頃に亡くなったからだ。

死因は不慮の事故だと聞かされている。

 

 

子どものいなかった長兄の百雄夫婦が

甥っ子、姪っ子を引き取って

自分の子として育ててくれたのだ。

 

 

二人がまだ小さい時だったのが

幸いだった。

物心ついた時にはすでに

伯父夫婦が育ての親として傍らにいた。

 

 

そして、浩の父親

林家の三兄弟の一番末の弟、剛英は

中華街から少し離れた所で

武術道場を開いているが

浩が小さい頃は「らーめん亭」に預けていた。

 

 

年の近いいとこ同士は

転げまわるようにして遊んだものだ。

周りの大人は折りにつけしみじみと口にした。

 

 

「三人はらーめん亭の中で

育ったようなものだね」

「三人兄弟のように育ったね」

 

 

 Image by H. Hach from Pixabay (上)

 Photo by Max Griss on Unsplash(下)

 

 

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