ONCE MAGIMAGI -23ページ目

第十七話 間違い・進化の道筋

「はい、かいちょー、質問があるデス、シナナイデネー」

「ハイ、なんですか、メルちゃん」

試合の前のアナウンスで、何かコントが始まった。

「太陽神は男性にのみ与えられる称号ですよね、なのになぜ、ホワイ」

一息。

会長も相槌。

「女の子が二人もトーナメントに合格してるんですか?セブンワンダーノ、ヒトツネ」

「…」

会長はしばし、考える。

メルクリウスも答えを待つ。

「はっはっはっ」

「hahaha」

乾いた笑いが二人の沈黙を破った。

「さーて、今日は第一回戦、四試合が行われます、エグゼッ」

ここは、学園内にある闘技場。

魔法で戦う人用に作られた施設だ。

円形の舞台を囲むように客席がある。

夏休みだというのに、超満員だ。

「一回戦は敗者復活の真田 優希君と、二組の紅 コスモスさんの試合だー、モエロオレノコスモス」

「コスモスってカタカナで書くけど生粋の日本人です」

「100代上っても全部日本人だーね、グランパ」

「うっさいわ」

あ、紅さんがアナウンスにたてついた。

気の強そうな女性だなー。

「ふんっ、こんな弱そうなの相手?話にならないわ」

優希のコスモスに対する第一印象はあながち間違いでもなさそうだった。

「はは」

試合前に彼女の方から語りかけてきた事を思い出す。

「あなた、第三魔研部って本当?」

別に隠す事でもないので素直に答えた。

「はい」

「ムッキー、うちら第二魔研部はこのトーナメントにかけてるの、第二魔研部から初のオリンポス十二神を出すぞってがんばってるの、実際このトーナメント本選の参加者の半数以上がうち、第二魔研部から出てるの」

とりあえず優希は相槌を打ちながら話を聞く。

「第三魔研部のくせに、同好会かどうかもわかんない部のくせに、オリンポス十二神が既にいるなんて、許せない、その上、太陽神の称号までとろうなんて、もううっっ!!」

「???」

正直な話、優希には分からなかった。

第三魔研部の誰がオリンポス十二神なんだろう?

番長さんはイレギュラーナンバーで十二のうちには数えられていないって言うし。

だれ?

謎は謎のまま置いていかれた。

そして今。

改めて相手の女の子を観察する。

ちょっと小柄で、胸も尻も控え目な女の子。

桜情報だと、このトーナメントで優希とコスモス二人だけが光子体になれないらしい。

「キーはやはり光子体か」眼鏡ニア。

「うん、とりあえず様子を見ながら作戦を立てないとねー、女の子だし」

「ファイ」

「あ、始まった。よろしくおねがー」

最後まで言えなかった。

「SSフィールド展開」

「・・・・・・は?」

SSって言った?

DDSでなく。

「サーティブリッツ、はっ!!!」

「は?」

光弾が無数に飛んでくる。

「DDSフィールドッ、連続して壁っ」

壁の展開と同時に何発もの光弾がはじかれる。

「あ、あぶなっ」

「やるわね、私の不意打ちを破るとは」

「不意打ちって、何であの子SSフィールドを?二週間前まで光子体にもなれなかったはず…」

「まさかあいつ、順番を飛ばしたか?」眼鏡ニア。

「光子体になれる前にSSフィールドを取得した?」

「馬鹿だ、光子体なる前にSSフィールドを覚えてしまうと統計で97%が一生、光子体になれないって学校で習わなかったのか?」

「紅さん、光子体にならないの?」

コスモスはムキになって足をどかどかする。

「うるさいっ、光子体なんか無くったって、SSフィールドが張れれば万事問題なしっ」

「どうしよ」

「お前が光子体のすばらしさを教えてやるしかない、なれ」

「って、ボクだって難しい」

優希の迷っているスキを彼女は見逃さない。

「フォーティブリッツ」

今度は四十発。

「壁っ!」

壁を張る手に着弾の振動が伝わる。

「光子体になれば勝てるの?」

「勝てる!」

「ならば、なるしかっ、ない!!!」

爆発的に優希の周りの空間が破砕する。

「自我を捨て体を再構築」

「己は広げたままで」

「無我を広げる―――」

破砕した空間が、巻き戻しの映像のようにパズルのピースを埋めていく。

「させないっ、最強!フィフティブリッツ!!!」

しかし、時はすでに遅い。

「光子体」

優希が失った自我をかき集めながら、己を確認していく。

「マテリアライズ」

「うおおおぉぉっっ!!!」

不思議な感覚だった。

光弾は決して遅くない。

しかし、優希はそれより早く思考が出来、また、体もそれに反応した。

「不思議だ」

五十発の光弾を紙一重でかわしながら、しかし余裕の態度で優希は光子体の状態を保った。

「遅いわけじゃない」

すべての光弾をかわした直後、優希は瞬間移動をした。

コスモスの背後に。

しかしコスモスはまったく反応できない。

「でも、自分がそれより早く感応できる」

「どこに行っ、あの優男っ!!!」

観戦している者は皆、コスモスの後ろに優希が移動しているのに気付いていた。

気付いていないのは、当のコスモスだけ。

「どこだっ!どこにっ」

「後ろだよ」優希。

「なっ」

しかし、優希はコスモスが後ろを向くのを待ってはいなかった。

「時縛り」

急にコスモスの動きが止まった。

「審判の方はどこですか、勝負は決まりました」

「おーーーっと、ここで真田選手の勝利宣言だー!でもなんでコスちん動かないの?フリーズ」

「時を止めました、ボクが魔法を解除しなければ永遠にこのままですよ彼女」

「決まりでーすか?プレシデント」

「そうですね、彼女本当に止まってますね。決まりでしょう」

歓声。

「一回戦、第一試合は真田優希選手の勝利ーっ!ウィン」

「ユウちゃん」

史奈子が舞台の上の優希に駆けつける。

「大丈夫?」

「うんっ、ぜんぜん大丈…」

あれ?また、体から力が―――。

優希は倒れた。

なんか光弾くらった?

失われていく意識の中、優希は史奈子が真っ青になっているのに気付いた。

「大丈――――――夫…」

そこで意識は完全に途切れた。


ツンツンデレデレ