ONCE MAGIMAGI -24ページ目

第十六話 修行・それぞれの秘策

「波乱波乱大はらーーーーーーーーーーん」

優希がやっと予選落ちという現実を受け止めて、家路に着こうとしていたときだった。

司会のメルクリウスが、いっそう大きい声でアナウンスをする。

何事だろう、ぼんやりと優希はアナウンスに耳を傾ける。

「一の八、まさかまさかの時間切れーーーーーー、タイアウッ」

「合格者ゼロですね」

え?

「これはどうするどうするーー?本選の枠が一つ余ーる、ワリザン?」

「もともと時間は全体の進行をスムーズに、って言う意味だけで作ったものだったんだけど、ルールはルール、一の八全滅ー」

じゃあ、余った枠は?

「余った枠はどうするの?ハウユーズ?」

「誰か敗者復活って事になるでしょーこれは」

「もう日が暮れまーすよ、明日またやる?トウモローウこし」

「面倒だから私が独断と偏見で決めていい?」

「文句は無いでーす、会長絶対がこの学園の法律でーす、ロウ」

誰が選ばれる?

「ん、やっぱ誰より早く、どの合格者より早くボックスに到達した―――」

え?え?えっ?

「真田優希君を復活ー」

大歓声。

賛成、ブーイング、冷やかし、全部混じった大大歓声。

「よしっ」

桜がガッツポーズをとる。

「って、当の本人より俺が喜んでどーする」

「え?」

「・・・・・・・・・実感ねーのか?」

ぎゅうぅぅぅ

桜が優希の頬をつねる。

「いあい」

桜が指を離す。

「いたいよー桜ー」

「決勝で決めるぞ、二回戦」

「うんっ、うんっ!!!」

実感がまだ空中でブラブラしていたが、桜に負けたままで終わらないと言う事だけは分かった。

次は必ず勝つ!


三日後。

真田家の近所にある、ちょっと大きな公園で。

「本選まで、あと二週間を切った。正直、光子体がないと厳しい事は前の予選で感じたとおりだ」眼鏡ニア。

「うん、この魔法はもう十分だと思う。多分、実践レベルにはなってる」

この三日で優希は一つの魔法を使えるようになっていた。

瞬間移動の応用魔法だったので、割と短期間で習得できた。

「次は防御術だ。学校で習った事、復唱だ」

「うん、えと」

確か…

「防御術には二種類ある。どちらが良いかはレベルによって変わる。まずは、初、中級防御術」

優希が考える。

「魔法の密度を高める事によって壁を作り防御する方法、利点はどんな魔法にも有効な事、欠点は密度が薄いと破られることと、魔力の消費値が高いって事」

「あぁ」

「もう一つは魔法自体をキャンセルする方法、上級者向け。利点は相手の魔法と自分のキャンセル魔法が一致すれば確実に防御できる事、この場合は絶対破れない」

「欠点は?」

「相手の魔法と一致しなければキャンセルできない事、他には魔法しかキャンセルできない、つまり拳銃とかで打たれたら守れない事」

「ああ、丸だ」

「ボクがこれからやるのは壁を作るほうだよね」

「いずれはキャンセル魔法も覚えなければいけないが、あれは経験がものを言う。まずはそっちだな」

「うん」

「もうこんな半分出来ている魔法、二日で完成させろ、さっさと次の光子体の修行に入れるようにな」

「そうだね、攻撃魔法使うときに簡易ながら使ってるもんねー」

「いくぞー」


桜は一人竹林の中で瞑想にふけっていた。

目を閉じて静かに考える。

「光子体」

「普通、人の体は神経に電気が通って脳から命令がいく」

「この電気信号を光に変えることにより計算上だけでいうと約150万倍の反応速度が手に入る」

「それが光子体」

「もちろん、筋肉を光に反応出来るようにし、さらに、そんな強烈な運動に筋肉が耐えられるようにもしなければいけない」

「体全体の改造が必要になる」

「体全体を変えるってのは、つまり自我を放棄する事」

「魔法の条件にあるDDSフィールドは自我を広げる事」

「この一見矛盾した自我を実現するのが難しく、みな悩む」

「正直な話、SSフィールドの方が簡単だ、DDSフィールドに多少の差異を持たせ、二重に張ればいい」

「SSフィールドの前に光子体を学ぶのは、SSフィールドが張れるようになってから光子体を習得するのが難しいからだ」

「DDSフィールドを二重に張りつつ自我を放棄なんて、初心者には難しすぎる」

「つまりー」

「優希がこの短期間で学べるのはせいぜい光子体まで」

「会長のあの魔法が習得できれば、俺が」

桜、開眼。

「チェック」

「メイトだ」

静かに、呼吸をしながら。

「他に奥の手もあることだしな」

――――――と。


そして、幾日か過ぎ。

「いよいよ明日か」

「光子体、実践稼働率は20%といったところか」

「五回に四回は失敗するねー」

ま、DDSフィールドのときのように、こいつは実戦で伸びるタイプだ。何とかなるだろう。眼鏡ニア。

「光子体になってるか、なっていないかって、体光るから一目瞭然なんだよねー」

「ま、がんばる事だ。」

「うん、がんばるぞー!おー!!!」

掛け声は空高く、天まで届く―――。


その天で。

「まさかワシ自ら動く事になるとはの」

「すみません、天使の私ではあの者には太刀打ちできませんでした」

「まあ、仕方ない。落ち込むな、後は任せなさい」

「さて、主属神であるワシの器には」

地上を見下ろし、

「ふむ、あの者にしよう」

決める。

「ちょうど、なにやらトーナメントで選択者にぶつかりそうだしの」

「はい」

「では行ってくる、他の主属神には内緒だぞ」

「?」

「この事態には、さすがの私でも想定外であったからな」

「事態?介入者があるだろうことは想定なされていたのでは?」

「ある程度はもちろん想定していたわい」

「しかしの」

「まさか選択者の能力が失われるとは・・・・・・」

「・・・・・・能力・・・?」

「秘密じゃぞ」

そして天から一片の光が舞い降りる。


「誰?」

「体をしばし借りるぞ」

「え?」

「安心せい、必要なとき以外は、意識の奥で縮んでおるから」

「え――――――?」


太陽神の称号をかけた本選が始まる。


瞑想の中での秘策