シリコン利用太陽電池で変換効率30.2%達成 | 元太陽光発電技術者の道楽ブログ

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30年余り太陽光発電に携わってきましたが、リタイアすることにしました。
これまでの経験を活かし、我が家の屋根太陽光発電や購入した分譲太陽光発電所の状況・運営・評価などをはじめ、太陽光発電の技術に関連したことを中心に呟いていこうと思います。

ドイツの話なので少しシャクですが、シリコン利用の太陽電池で変換効率30.2%という高い値が達成されました(理論限界を突破。シリコン利用の太陽電池で30.2)。「シリコン利用」という中途半端な表現ですが、シリコンの太陽電池にGaAs系の太陽電池を2つ重ね合わせた構造のようです。

 

GaAsは高価な材料で、それだけでも30%近い変換効率の太陽電池を作れると思います。それとシリコンを組み合わせたら30%ぐらい行くのかもしれませんが、とにかく世界最高達成だそうです。少し詳しく構造を言うと、シリコンの太陽電池にGaAs系のAlGaAs太陽電池をのせ、更にその上にGaAs系のGaInP太陽電池をのせています。

 

このように太陽電池を複層重ねて効率を上げる方法は昔から研究されてきましたが、ほとんどは順番に積み重ねていく方法で作られていました。今回のものは製法が少し変わっています。まずシリコン太陽電池Aを作ります。それとは別にGaInP太陽電池にAlGaAs太陽電池を重ねた太陽電池Bを作ります。その後、ABの太陽電池を物理的に貼り合わせて合計3層の太陽電池を作ります。詳しくは下図に示された通りです。

 

このような方法はメカニカルスタックと呼ばれ日本でも研究されていますが、まだ海外に負けているのでしょうか。張り合わせるところがなかなか難しいようです。

 

今は研究段階なのでコストを考慮しても従来のものを凌ぐのかどうかは良く判りません。最近では単なる1層のシリコン太陽電池でも技術開発が進み26%が達成されています。GaAsを使って30%の太陽電池を作れても、コストが従来のものより2割以上上がってしまったら意味ないですからね。

 

これを開発したドイツのフラウンホッファー研究所はシリコンをベースに使っていることから低コストで量産できると見ているのでしょう。確かにシリコンベースである点は期待できます。うまく行けば将来の技術となるのかもしれません。いよいよ実用技術で変換効率30%台が近づいているのでしょうか。今後が楽しみです。

 

 

 

 

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