姉妹と言えど、毎日一週間みっちり休みなく一緒、というのは
さすがに疲れてくる。私はそれでもなんとか明るく普通に振る舞って
いたつもりだったが、姉の方はイライラを隠そうともしない。
実家でお互いが持って来たお土産を家族に渡した際に、姉の機嫌
が悪くなってきているのに気付いていた。なぜなのか考えてみると、
元々ケチな性分の姉は、正直、大したお土産を持って来ていなかった。
私はせっかく帰るのだからと、継母への個人的な感情はさて置き、
いろいろと持って行った。日本では手に入りにくいもの、父、継母、
(腹違いの)弟がそれぞれ喜びそうなもの、を考えて吟味した
お土産。
姉は私のそんなお土産を見て、差がついてしまった、とバツが
悪かったのだと思う。父や継母から見て、「出来がいい娘」は
昔からいつも姉であったはずなのに。
それはさておき、今回の日本滞在は父に会うことが目的だったので、
父と会った後は姉と買い物に行ったり美味しいものを食べたりして
過ごした。その間にも姉のイライラはますます溜まってくる。
スーパーで私が買い物をした大量のアイテムを袋に入れている
のを、傍で仁王立ちになって腕組みをして怖い顔で見ている。
自分の物はさっさと袋に詰めてしまってさっさとホテルに引き返し
たい姉は、時間が掛かっている私にイライラしていた。
手伝ってくれれば早いのに、そういう人ではない。
私がブックオフに行きたいときも、自分は行きたくないので、ずっと
機嫌が悪く、一切無言。こういうの、一緒に行動する身になると、
本当に疲れてしまう。姉は本当に難しい人。気に入らないことが
あると顔や行動に直ぐに表れる。
本当に、本当に、疲れる…。
それは最終日、ホテルをチェックアウトする朝のことだった。
大きなスーツケースに加え、ここぞとばかりに買い込んだいろいろ
な物を抱え、ロビーに降りて行くだけでも容易ではなかった。
いつもの通り、姉はさっさとエレベーターを降り(その間、私は
ドアが閉まってしまわないようにエレベーター内でボタンを押し
続けていた)、そのまま後ろを振り返らず、私がちゃんと荷物を
持ってエレベーターから降りられたかどうかを確認することも無し
にさっさと歩いて行ってしまう。ドアに荷物が挟まれてしまった私
は、後ろを振り返りもしない姉に呆れると同時に怒りを覚えた。
人にまったく気を遣わない人間、それが姉だった。
ロビーで追いついて、思わず姉に言ってしまう。
「お姉ちゃんって、相変わらず薄情だよね」
…この言葉は思いの他、姉を傷つけたのだとのちに知ることに
なる。
とにかく、それぞれの家族の待つアメリカに向けて機上の人と
なった姉と私だったが、機内でもなんだかギクシャクしたような
雰囲気が漂う。
不自然な姿勢で眠ってしまった姉の座席をそぉっと倒した途端、
眼をパッと見開いて姉が怖い顔で言った。
「私は背もたれ倒さないで寝るのっ
」
その後、カリフォルニアまでの長いフライトの間、口をきくことも
なく、間もなく姉が住む街に到着となった時に姉が言った。
「ワタシ、疲れてるから、アンタが家に帰る乗り換えのフライトを
待つ間、一緒に空港に居ないで家に帰るけど、いい?」
私が自分の家に帰るための乗り換えのフライトの待ち時間は
確か3~4時間程度であったけれど、姉が一緒に空港で時間を
潰してくれるか、姉の家に行くか、と思っていた。
もうホトホト嫌気がさしていた私は、なんでもいい、と答え、
空港に到着した後は、顔も見ずに、「じゃあね」と言って国内線の
ターミナルに向かってスタスタと歩き始めた。
私のフライトは遅れに遅れ、結局ターミナルで数時間一人で
過ごした私には、いろいろと考える時間は有り余るほどあり、
「もう姉とはこれで終わり」と強く思っていた。