前回の記事では、ダイナミススクールでジェレミー先生から、教わったマヤズムについて書きました。
ハーネマンは、オルガノンの中で、3つのマヤズムについて述べていますが、その中のSysosis(淋病マヤズム)についての代表的なレメディの1つがNat-sulph.です。
Nat-sulph.は、硫酸ナトリウムを原料とします。
自然界では、60%水分を含み、芒硝(ぼうしょう)、グラウバー塩ともいわれています。
硫黄とナトリウムの塩で、NaSO₄10Aq(硫酸ナトリウム10水和物)として存在します。
これは、硫酸ナトリウムの分子1つに水分子10個が含まれているということ。
水をたくさん含んでいることがこの物質の特徴で、レメディの症状にも反映しています。
とても面白い症状があります。
mind; CHEERFULNESS; stool, after 排便後、陽気になる。
排便ということで、水分が幾分減り、気分が良くなるということでしょうか。(笑)
潜在意識で、水につかっている感覚があるのでしょうか?
mind; DREAMS; drowning 溺れる夢
mind; DREAMS; water; sailing 水;航海している夢
ナトリウムは、水の要素を持つ元素、硫黄は火の要素を持つ元素。
Nat-sulph.はこれら二つの元素ですから、温かく湿気た人だとも言えます。
暖かく湿気た天候で色んな部位のいろんな症状が悪化します。
湿気によって喘息が起きるレメディでもあります。
Nat-sulph.は、頭部の怪我以来の不調によく使われます。
ジェームズ・タイラー・ケントの伝説的なケースは有名。
“セントルイスの消防士が消防車から転倒し、頭を打った。その後6か月しててんかん発作を起こすようになった。精神的にもイライラし、死にたがるので、妻も一緒にいるのが耐えきれなくなるほどだった。目は充血し光恐怖症のためサングラスをかけて頭痛を訴え、よろよろしていた。”
彼にこのレメディを1回処方しただけで、てんかん発作も頭痛もなにもかもすべてなくなったということです。
一般には怪我のレメディといえばArn.ですが、精神・感情にまで症状が深く及ぶようならNat-sulph.が良いそうです。
せき髄液が何らかの損傷によって適切に流れなくなり、頭に水が溜まってしまった状態。
そこからくる、鬱、イライラ、自殺傾向。
このレメディには、「頭に銃で穴をあけて死にたい」という症状がありますが、自分の苦しみの原因が、頭の内部の圧力のせいだと本能的にわかっているのかもしれないと教わりました。
圧力による、頭を押しつぶされるような、充満感のある頭痛。
癲癇や鬱の治療に、トレパレーションといって、頭蓋骨に穴をあけ、頭部の圧をさげるという神秘主義に基づく治療も古来からあったようで、穴の開いた頭蓋骨も発掘されています。
こういった治療法を選択したのはNat-sulph.の人だったかもしれません。
“The Synoptic One”では、精神症状として以下のような記述があります。
システマティック・ワーカー。
地に足がついている。
強い義務感と責任感。
客観的で現実的。
Delusionsの症状が1つもない。
音楽によってのみ涙を流す。
頭部の怪我以来精神面が変わってしまう。
自殺傾向。
しゃべったり、しゃべりかけられたりするのを嫌う。
私の夫は今まで巨匠といわれた何人かの先生にセッションをしていただいたことがありますが、最近ジェレミー先生に診ていただくようになって、このレメディを処方されました。
彼と、このレメディを見比べると、やはり今まで処方されたどのレメディよりしっくりきます。
ナトリウムの過敏さを持ち、閉じた感じ。責任感が強くきちんとした優等生タイプ。
サルファの楽天的で自我が強いというところがあります。感情的にも身体的にも熱を持った人。
開頭手術以来のけいれん発作というのがホメオパシーに出会ったときに抱えていた主訴ですから、これだけで、Nat-sulph.を選んでも良かったかもしれません。
暑くて湿度の高い環境は苦手です。
水分はあまりとりません。
喘息、胆嚢、肝臓の既往症あり。
一緒に暮らしていて、じっとりとした熱感を感じる人です。
私は、乾燥して冷えている体質なので相性は良かったかもしれません。(笑笑)