Cact.(カクタス)は、メキシコ熱帯雨林に生育するサボテンを原料とするレメディです。
日本での名前は、月下美人。大輪柱。
英語では、Night-blooming cereus. Queen of the night.
この植物の美しく、はかなげな姿そのままの名前が付けられています。
自生地のジャングルでは、老樹の幹、朽ちた木、腐葉土の上に根を張り育ちます。
波打った昆布に似た茎を生やし、1~2mに成長すると20cm~30cmの花を咲かせます。まさに、大輪柱。
新月や満月の夜、1年に1回だけ咲きます。
夕方から香りを放ち始め、午後8時ごろに満開になり、そのころに香りもピークとなります。見ごろは、たった2~3時間。
夜に花を咲かせるのは、ライバルが少ないからだといわれています。
暗闇で、目立つ白い花を咲かせ、強力な香りで
こうもりを引き寄せ受粉する。
日が昇ると花はしぼみ、香りも失せる。
花言葉は、はかない恋。はかない美。あでやかな美人。
秘めた情熱。
「美人薄命」の語源になったとも言われている。
この植物の花や茎は、メデイカルハーブとして不整脈や心不全の治療に使われてきました。
特徴的なのは、花だけではなく、茎の部分です。
まるで、蛇のような、蔓植物のような。
巻きつかれた木は、苦し気に見えます。
このレメディが持つ症状の一番の特徴は、CONSTRICTION(締め付けられる)感覚です。
心臓に、こういった症状を持ちます。
レパートリー(レメディ検索辞書)には、以下のようなルブリックスがあります。
CHEST; CONSTRICTION, tension, tightness; band, girdle, as from
胸がベルトできつく締め付けられるよう。
CHEST; CONSTRICTION, tension, tightness; Heart; grasping sensation
心臓が、固くぎゅっとつかまれる感じ。
締め付けられる感覚は、心臓だけではありません。
胸部、首、身体、膀胱、直腸、膣、子宮などにもあります。
THROAT; CHOKING, constricting; clothing agg.
喉が締め付けられ、窒息するような感覚が衣服で悪化する。
という、症状もあります。
これは、Lach.(ラケシス/ブッシュマスター)の代表的な症状の1つです。
サボテンなのに、蛇のような姿をしていますが、蛇の代表格Lach.と同じ症状を持つなんて・・・。Lach.も、心臓や循環器に症状を持つレメディです。
出血性や鬱血性の症状を持つのも、Lach.との共通点です。
Focus(CHKで使っているマテリアメディカ/薬効書)のCact.のページに載っている精神症状に、
MIND; DREAMS; falling 落下の夢
というのがあるのですが、この症状に入っているレメディの中に、Elaps(サンゴヘビ)というのも入っています。
ここでも、蛇との関係性を感じます。
その他にも、蛇と言えば、Naja(インドコブラ)ですが、このレメディも心臓の病気との関係は深いです。
植物の姿と、その植物を原料とするレメディが、人の身体に起こす症状との類似性。
それだけでなく、その植物の姿に似た動物とも同じ症状をもつなんて・・・。
不思議です。
私は、こういったところに、ホメオパシーの限りない魅力を感じています。