今回は骨髄移植について書こうと思う。

 

ドナーを待ちながら地固め療法を続けていたある日のこと。

担当看護師さんが言った。

「いい感じでドナーさんが見つかりそうですよ。」

見つかりそうって何だろう?

型が一致するドナーが見つかったら、その時点で決まるものだと思っていた。

だから「見つかりそう」という状態がよく分からなかった。

疑問に思ったが、詳しくは聞かなかった。

 

あまり知りたくなかった

前にも書いたが、この頃の私は骨髄移植に対してかなり恐怖心を持っていた。

だから必要以上に調べようとも思わなかった。

気が楽だったから。

 

当時の私が知っていた骨髄移植の知識は、ほぼこの二つだけだった。

・ドナーの血液型に変わる

・これまでの免疫がなくなる

今思うとよくそんな状態で移植を受けようとしていたものだ。

 

とはいえ、さすがに少しは知っておかないとまずい気がしてきた。

そこで骨髄移植について少し調べ始めた。

すると、私の想像とは全く違っていた。

私はずっと、

「ドナーの骨髄を切り取って、自分に外科手術で移植する」と思っていた。

 

しかし、骨髄移植は手術ではなかった。

ドナーから採取した骨髄液を点滴で血管に入れるだけらしい。

「えっ!?それだけ!?」

と思った。

手術室へ運ばれ、何か大掛かりな手術を受けるものだと勝手に想像していたから。

 

人体ってすごい

ドナーの骨髄液の中に含まれる造血幹細胞が私の骨髄へたどり着き、生着する。

そして新しい血液を作り始める。

不思議だった。

人体ってすごい。

そしてそれを考えた人もすごい。

手術がないと知ったことで、少しだけ恐怖心は和らいだ。

ちなみに骨髄液ではなく、へその緒の血液である臍帯血を使う方法もある。

その場合は骨髄移植ではなく、臍帯血移植と呼ばれるらしい。

 

それでも不安は消えなかった。

移植後しばらくの間、生存率が大きく下がることを知っていたからだ。

その数字が頭から離れなかった。

「やっぱり移植はやめます。」

そんなふうに途中で断る人はいるのだろうか。

 

崖登り

さらに気になることがあった。

主治医が言った言葉だ。

「地固め療法が緩やかな山登りだとすると、移植は崖登りですね。」

((((;゚Д゚))))

崖登り!?

治療が過酷だということだ…

地固め療法ですら精神的にかなり参っていた。

その何倍も辛い治療が待っているのだろうか。

少し減っていた恐怖心が、また大きくなっていた。

 

複雑な気持ち

この頃の私は不思議な気持ちだった。

もちろんドナーは見つかってほしい。

見つからなければ移植はできない。

でも、もう少しだけ地固め療法を続けながら心の準備をしたい。

勝手な話だと思う。

それでも当時の私は、そう願っていたのだった。

 

 

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