ガスに火が付いていて、火事になってしまうのではないかという恐怖は、なぜか家を出ようと思う瞬間に発生する。そして、どんどん膨らむ。

 

ずっと家にいて、他のことをしている時には、全く気にならないのに。

 

だから、家を出ようと思いたくなくて、朝、家でうだうだしてしまう。

遅刻をしたくないから、何時間も前に早起きして、準備して、1時間前に家を出る確認作業を開始していた。

確認に1時間かかると見積もってしまっていたから。今思えば、この見積もりがいけないことは分かるのだけど、そのときには、早めの準備が唯一の対応策だった。

 

夜、試しにガス台の前にたってみても、あの恐怖は湧いてこない。

 

不思議な現象が続いていた。

 

毎朝の確認は、今思えばつまらない小さなこと。

テレビのコンセントを抜く、クーラーのコンセントを抜く、アイロンが冷たいか確かめる、そして、家の鍵がかかっているか、何度も何度も鍵の締まったドアをガチャガチャ動かしていた。

 

全ての不安は、火事!

 

テレビのコンセントから火事が発生するのではないか、使ってもいないアイロンが熱を持って火事になるのではないか、家に誰かが侵入し火をつけるのではないか。どんなに頑張っても実現しそうのない妄想が頭の中をよぎり、何度コンセントが抜かれていることを見ても、火事の妄想が浮かんでくるので、また確認しないといけない気分になってしまう。他人から見たら、他人に伝えたら、狂人と思われることは分かっているのに、なぜか不安が増幅し、同じ行為を繰り返していった。

強迫性障害に対して、一番してはいけないこと、それは同じことを繰り返すことプンプン

自分の体験から、今なら自信をもって言える。

 

家を出るまでに10分かかるようになって、おかしいなと思い書店で本を探したら、強迫性障害の本に出会った。強迫性障害で確認時間が大幅に長くなり、家を出られなくなってしまう人、髪が汚い感情が続き1日中シャンプーをし続けてしまう人の話が出ていて、人がそのような行動をすることが全く信じられず、辛い思いをしている人はいるものだ、私は軽症だなと他人事のように思っていたら、自分も同じ位の症状になってしまった。

私の家を出るまでの確認時間が、0分から、5分、10分、20分、1時間に達するまでに大した時間は必要なかった。

 

確認したはずなのに、ガスが点いているかもしれない、と玄関からガス台まで何往復もしはじめた。この往復は絶対にしてはいけない。脳のエラー反応を増長させるだけ。そして、往復をすることで、ガスが点いているかもしれない疑いだけが強くなるのに、ガスは消えているというすっきり感がどんどん失われていくのだ。右から見て、左から見て、触って冷たいことを認識して、写真を撮って後から安心できるようにして、もう一度右から見て。。。赤の他人から見たら、信じられないような阿呆らしい行為を何度も何度も繰り返すようになった。