ある夏の日の思ひ出 | 週刊さんでいリターンズ

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人生折り返し地点を過ぎたと思われるのに、方向転換を思い立ち会社を辞めて3年。
共通一次世代の年寄りがセンター入試なるものを経験し、学校に通って最後の夏休み、
自分を探しにリュック背負って海外に行く。賭場を離れること数日、
ある有名な競馬場の前に立っていたのであった。

日本からは調べられなかったのであるが、この地方は暑さのために通常夏競馬はないとのこと。
期待していたトロット(繋駕速歩競走。ばんえいのようなもんだと思ってくだされ。もっと軽いけど)
も行われていなかった。

けっ、やはり毛唐のバクチは上品でいけねえ、競馬は貴族のスポーツだと?
日本でも帽子かぶってちゃらちゃら放送するいかれたババアやらアイドルを持ってきて
的外れな放送をしているが、所詮バクチだ。されどバクチ。賭場に夏休みなんていらねえ。

ゆっくり見学をしてコースの広さに関心しながらも後楽園の活気あふれた
賭場を懐かしく思い、毒づきながら歩くと足元に絡まるものがある。
はずれ馬券と新聞だ。その新聞を見て思わず鷺沢萠女史のエッセイを思い出し
笑みがこみ上げる。
こんな内容だった。
ある海外の小説で、街中に鹿がいるのを見ると故郷を思い出す女性が出てくるのだが、
鷺沢女史は英語やらを操り、ハイブリッドな仕事を続けたタクシーの帰りに
場末の雀荘の看板を見て、故郷を見るように安心するというのだ。
「大丈夫、あそこにもクズがいる」

私の足元に絡まっていたのは、休みの競馬場で売られていた場外馬券であった。
大丈夫、この国にもクズがいる。そしてクズは夏休みでもやっぱりクズ。

いや、場外のはずれ馬券に故郷を思い出すのもどうかとは思うんだけどさ。

ともかく私は立ち止まり、財布の中に入っていた札よりも少し多い金額の
「京王閣けいりん」のはずれ車券をはずれ馬券の隣にそっと手放した。