新学期早々風邪を引いて具合が悪い。
ぐずぐずいいながら、新聞を読みながら横でゲームに興じる相方に話し掛ける。
「株屋時代に”それによって誰が得をするのか”というのは常に考えるように
鍛えられているわしな訳だが、今回の戦争で___
例えば米国が石油の利権を手に入れるため始めたという見方もあるがどーよ?」
相方はつまらなそうに
「人命と戦費を考えると割に合わないんじゃないかな」
ふむ。確かに利権を手に入れたところで破壊された設備を立て直さねばならぬし、
(寧ろ戦後の復興の利権が取り沙汰されているがそちらの方が現実味のある話だ)
それにもしもドクター中松の政策が実現したら、油井の利権なぞ意味がなくなる。
...DNDってどんなよ。
「じゃ、石油や海運はどーよ、原油価格上がってるけど」
「運ぶのに金がかかって儲からないよ」
元船会社の相方によると、日本には原油の備蓄制度はあるが、戦時だからといって
全く輸入しなければ石油会社も船会社も仕事にならない。船舶の維持費もかかる。
故に高い保険と人件費をかけ運ぶのだ。自衛隊は米英に比して湾の外にいるが、
湾内まで入るリスクを犯すのは実は商船である。但し日本人船員は組合が強いので
そんな危険な所には行かない。今回はどこの国が多いか知らぬが
外人船員によって原油は運ばれており、オイルショック時のような
トイレットペーパーパニックになることはない。今のところは。
鼻をかみながらわしが言う。
「ブッシュの目論見は外れて一般に予想された通り、戦争は長引きそうだし
米国は評判落とすばっかだが、この戦争で得をしている人が実はいるんだよね」
「つまり、この戦争を始めたのは江畑さんだということに...」
「(冷たく)早く寝ろよ」
そーする。
とりあえず、ヒステリックに「反戦」「戦争反対」という人は周囲にはいないが
妙に感情的に訴える人こそ、いざ自国が巻き込まれることになると
ヒステリックに「敵国は撃退すべし」とジハード推奨の如く
がらっと変貌するような、なんとなくそんな予感。
想像力を常に働かしておくといざと言う時に変貌しなくていい気もするんだが。
自分や家族が無残な死に方をする想像は決して楽しくはないけどね。