ストーリーはほぼ無い映画ですが、内容を知りたくない人は以下を見ないで下さい。
(つまり、ネタバレ注意です。)
実物の戦争の映像だ。
実際に人間が、幼い子供が亡くなっていく映像だ。
悲惨な戦争体験を実際にさせてくれる-とさえ言える。
あまりに凄惨な映像に、始めの方から涙が頻繁に流れる。
気の弱い人は見ない方が良いかもしれない。
病院に運び込まれた子供が、薬剤も器具も不足の状況で亡くなっていく。いや、薬剤があっても無駄だったかも知れない。
その時の医師、看護師の表情が克明に捉えられている。
医師はロシアに対する怒りで震えている。
誰かが言った「プーチンはイカれてる!」
両足が吹き飛ばされた少年が運び込まれた。まだ生きている。
医師達は懸命に治療を試みるが、徒労に終わる。
ストレッチャーには血がべったり。本物の血だ。
子供の死に直面し、母親は溢れでる悲しみ・感情に大きな声で泣くしかない。男性も泣いている。
自分の家を破壊されたおばさんは「何で私がこんな目に遭うの?!」と大きな声でカメラに訴える。
ケガをしたお腹のものすごく大きな妊婦がストレッチャーで運ばれていく。彼女は赤ちゃんをいたわるようにお腹に手を当てている。
しかし、結果的に母子とも助からなかった。骨盤が砕けていたそうだ。
多数の遺体が黒いビニール袋に入れられて深い穴に落とされる。
この作業は「すごく、きつい」とおじさんが言う。
爆弾の轟音の中、記者は懸命に映像を撮り続ける。
映像が戦争を抑制するのに役に立つと信じて。
いつ、爆弾が直撃するかも判らない、破片が体に突き刺さるかも知れない、そんな状況での撮影。
極限そのもの。まさしく「命がけ」である。
自分の仕事に対する使命感の極致だ。
映像は逐次ネットで自国に送るそうだが、自由に送れるような通信状況はない。
市の中の1地点だけ通信可能と発見したが、そこに行くのは命がけ。
映像を分割して少しづつ送る。
映画の後半は涙はあまり出なくなった。衝撃映像に感性が麻痺したのかも知れない。
映画終了後、思った。自分の居るこの映画館に爆弾が直撃し、多数が、或いは全員が死んでしまうという事なんだ。
戦争とはそう言うものだ。
この映画は戦争を体験させてくれると最初に言ったが、自分が本当にマリウポリにいたらそんなものではない。目の前にえぐれた肉片が散らばり、血だまりが多数できる。生きてた人がしゃべらなくなる。自分の肉親が凄惨な死に方をする。
のほほんと平和ボケした日本人は真剣に考えるべきだ。
隣国に危険な国が多い日本で平和を維持するには、どうすれば良いのだろうか?
隣国がロシアと同じ事をしないとは限らない。
私にはどうしたら良いのか判らない。
ぜひ、映画館で実際にこの映画を見て、戦争への悲しみ・怒りを体験して下さい。お願いです。
命がけで撮影した記者のためにも、マリウポリで死んでいった人・子供達のためにも、いや戦争と言うもので死んだ全ての人(敵・味方)のためにも。
↓映画のパンフレットの一部です。