クロは他の猫たちにとっていいボス猫ではなかった。
シャムとちがって、下位の猫に譲ったりはせず、
むしろ横暴に振る舞ったからだ。
たとえば、気まぐれに他の猫を居場所から
追い出したりした。
ある日、家に帰るとシャムが背中にケガをしていた。
浅い傷だが血が出ていた。
やったのはクロ以外考えられない。
お家のケンカでは血を流すまではやらないルールのはず、
しかも、ボスの座を奪ってもう戦う必要はないのに。
この時は少し腹が立った。
どうして戦う気のない年寄りを虐めるのか。
そして、権勢を誇示するためかしばしば粗相を
繰り返した。
これは家中で縄張り宣言していたのだろうか?
(よって「オシッコ大王」の称号を授与した)
3匹が共同で使う場所である爪とぎ場にまで
しばしば粗相をして、トラニャがすごくこれを嫌がった。
トラニャは、うちの猫でいちばんニオイに敏感なのだ。
そんな日々が続いた後、
帰宅するとまた大きなケンカの跡を見つけた。
黒い毛が飛び散り、クロの背中にまたハゲができていた。
(血は出ていない)
クロは偉そうにするのを止め、
ふたたびシャムは、甘えるのを控えるようになった。
シャムがふたたびボスの座に就いたのだ。
(続く)