うちに来た当初のボスはシャムだった。
今はシャムがボス、ないしはボス不在状態だ。
ボス交代の事情はけっこうナゾである。
わたしが最初にボスが交代したと感じたのは、
激しい闘争の痕跡を発見した後、2匹の力関係が
変わったからである。
2006年のある日、帰宅すると部屋に2匹の毛が
飛び散っていて、
クロの背中に大きなハゲができていた。
シャムは無傷だったので、シャムが勝ったのだろうと
思ったのだが、その日を境にクロがシャムに対して
偉そうに振る舞い始めた。
猫の上下関係は、居たい場所にいられるかで判断できる。
上位の猫は、下位の猫を追い出すことができるのだ。
その日から、クロはシャムを追い出すようになった。
クロのほうにだけハゲができていたのは不思議だったが、
シャムはついに負けたのだとその時は思った。
そしてシャムは遠慮なく甘えるようになった。
シャムはボス時代、競争になるような場合は
他の猫に譲ってやっていた。
たとえば、こんな事があった。
ベッドでわたしに甘えているとき、
クロが甘えにやってくると、
シャムは足元に引き下がり、
そっとアゴをわたしの足首に乗せたのである。
シャムは、上に立つ者の務めは
下の者が幸福になるように
はからうことだと考えているかのように
振る舞っていた。
さすがにそれは考えすぎかもしれないが、
ケンカは強いのに争いごとが嫌いで、
温厚な性格であることは間違いない。
ボス猫としてのクロはまったく対照的だった。
(続く)