Oh、センクス、センクス、センクス、センクス、モオオオニカアアアアッ!! はいどうもね、俺、チョコモナカジャンボでおなじみ、吉川晃司! 陰茎しだれ柳世代で俺の曲を知らないヤツは誰もいないよな? モニカ、サヨナラは8月のララバイ、KISSに撃たれて眠りたい、あと、ヌノブクロトラヤスさんと一緒に『COMPREX』ってユニットも組んでたことがあるぜ、これも知ってるよな! ビーマイベイベー、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー、ビーマイベイベー、ミャーミャーミャーミャー、ミャーミャーミャーミャー、ミャーミャーミャーミャー、ミャーミャーミャーミャー……
スマン、俺の人生に興味のある奴は、あとはネットで調べてくれ、とにかく情報量が多過ぎるから。本日、伝えたいことは2つだけ。短くまとめるから、お前の陰茎のように。
まず、1つ目。俺が高校生の頃に佐野元春さんのライブを観て音楽の世界で生きていこうと決めたのは有名な話。ちなみに佐野さんのデビュー曲は『アンジェリーナ』で、俺のデビュー曲はご存知の通り『モニカ』だ、どちらもブルボンのお菓子の名前が由来。もちろんウソだけどな。で、当時、広島に住んでいた俺はどうすれば音楽の世界で生きていけるのかを真剣に考えた。そして出した答えは「芸能プロダクションに手紙を出す」というシンプルなものだったんだ。広島にスゲェ奴がいるから、見に来ないと一生悔いを残すぞって書いて、東京に送ったんだよ。
来たよ、本当に。事務所の関係者が。そこから何度かオーディションを重ねて、晴れて事務所入り。ちなみにその時の俺は水球をやってて、大学に推薦入学も決まってたのよ。しかも天下の慶應義塾大学に特待生として。でもそんなの関係ないから、高校3年生になる直前で中退して上京したんだよね。
ところが、せっかく上京したのにしょーもないレッスンばっかりやらされて、デビューの話が一向に進まない。つーことで痺れを切らした俺は社長に直談判。そこで社長に気に入られた俺はナベプロ10年に1度の逸材としてデビューを猛プッシュしてもらえることになったんだ。ここで言いたいことは、たったひとつ。やりたいことがあるなら、真剣にやれ。その熱意を、伝えるべき人間に真剣に伝えろ。これはできるだけ若いうちにやったほうがいい。何故なら、人に可愛がられて面倒を見てもらえる可能性が高いからだ。夢を叶えるのに、誰かの力を借りるのは恥ずかしくないのだ。恩は、後から返せばいいのだから。うん、今、結構イイこと言ってんな俺。
次に2つ目。俺の映画『すかんぴんウォーク』を観たヤツはいるか? ちなみにこの映画の同時上映は『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』というアニメ映画で、監督はなんと押井守さんだ。まあそれは良いとして、この映画は是非とも皆に観て欲しい。ま、DVD化されてないんだけどね……。
この映画で俺が演じているのは役者を目指す若者、民川裕司。で、もう一人のキーパーソンが故・山田辰夫さんが演じたシンガーを目指す若者、貝塚吉夫。この二人の若者は映画の序盤で自身の夢を叶えるために奮闘するんだけど、周りにいる大人達を「自分の夢を叶えられなかったダセェ奴ら」だと罵る訳よ、若者にありがちな感じで。ちなみにキャストは田中邦衛さんとか宍戸錠さん、原田芳雄も出ててメチャメチャ豪華だよね、お金かけてるよね。
で、皮肉なことに役者を目指していた裕司が「シンガーとして」有名になっちゃうの。で、吉夫は残念ながらシンガーとしての才能には恵まれていなかったので、せっかくステージでも上がっても客席からブーイングを浴びる始末。ところが、そのステージ上で逆ギレしたのが功を奏して、彼は今で言うところの、「キレ芸」を武器に有名になっていくの。かつての仲間だった裕司も、彼の暴露ネタの恰好の餌食になるんだよね……。
この映画の感想は、ホントに人それぞれだと思う。映画そのものとしては俺、吉川晃司を売り出すための宣伝材料の一つに過ぎないだろうけど、今みたいにブレイク直前のアイドルと一緒になって恋愛劇を演じるようなチャラチャラした内容じゃなくて、あまり後味の良くない昭和テイストの強過ぎる内容だからね、全然プロモーションの一環として成立してない気がする。ま、当時のファンはそれでも大挙して映画館に押し寄せたらしいけど。ただ、俺の人生と照らし合わせるとさ、いろいろと考えさせられるよね。ついさっき夢を叶えるなら真剣にやれみたいなことを言っちゃったけどさ、真剣にやっても夢が叶わなかった人も大勢いる訳で、彼らにもその後に長い人生が待ち受けているんだよね。成功者だからこそ言えるセリフってのも、確かにあるんだよな。
あとさ、金のために不本意な形で世の中で有名になっちゃう人ってのも少なからず存在するんだよね。パチンコの世界でもいるじゃん。特に漫画…… ってヤメとくか。かつては純粋だった夢がいつの間にか歪んで、己のステータスを維持するための手段でしかなくなるってパターン。これはこれでしんどいよね。慣れるのか堪えるのか知らないけどさ、俺は嫌だね、でも、これも俺が夢を叶えた立場の人間だから言えることなんだろうね。
同じ有名シンガーの安室ちゃんも歌ってたよ、夢なんて見るモンじゃない、語るモンじゃない、叶えるものだから、って。確かにそれでいいよ、若い頃は。ただ、いつまでも若くはいられないのよ、だって人間だもん。年を重ねて、体力が落ちて、気力を少しづつ失って、環境が変わって、生活がままならなくなって、夢は叶わなかったと諦める。でもさ、それでいいじゃん。しょうがないよ。恰好悪いかもしれないけどさ、名も知らぬ数多の夜空の瞬きだって、星には違いないじゃん。その中でひときわ目立っているスターだって、輝きは永遠に続く訳じゃないし。成功して奢るのも、夢叶わずして恥じるのも、俺は違うと思う。全ては「今、たまたまそうなっている」だけだよ。誇るべきは成功者の努力、感謝すべきは賛同者の尽力。誰かを馬鹿にしたり蔑んだりしていた奴らも、いつかは年老いていくんだよ。自身の夢が見るもの、語るものに変わったとしても、誰かの幸せを願うという夢は、やっぱり叶えるものとして永遠に持ち続けてイイんじゃないかな。
こんな長い話に付き合ってくれてセンクス! 良かったら映画『すかんぴんウォーク』も観てくれよな! もう一度だけ言うけど、DVD化されて無いけど……。