ヒロ

なあユイ。

今回の選挙、オレは高市さんを支持した側だよ。それは今も変わらない。

ユイ

うん。そこは大事な前提だね。

ヒロ

でもさ、支持した瞬間に「全部OK」になるのは、ちょっと違う気がしててさ。

ユイ

支持と、無条件の肯定は違う、ってこと?

ヒロ

そう。支持って、本当は「今はこの人に任せる」くらいの意味合いのはずなんだよね。

ユイ

永久委任状じゃない。

ヒロ

そうそう。

なのに最近は支持=批判禁止みたいな空気が、うっすら漂ってる気がする。



少子化。高齢化。一人暮らし。

問題は山ほど語られるけれど、

私たちはいつの間にか「壊さない方法」より

「離れる選択」ばかり上手になってはいないだろうか。



少子化、高齢化、一人暮らし。

どれも現代を象徴する言葉だ。


でもふと思う。

昭和の家族って、そんなに悪かったのだろうか。


うまくいかない家族も、確かにあった。

衝突も、勘違いも、感情の行き違いもあった。

それでも、人は家族という集団の中で生きていた。


問題があるから壊すのではなく、

問題がある前提で、どう暮らすかを考えてきた。


たとえばトイレ。

昔は外にあって、臭くて、見えて、音もした。

でも「排泄をやめよう」とはならなかった。

囲って、流して、音を消して、

方法論で人の尊厳を守った。


家族も同じなのではないか。

近いからこそ揉めるなら、距離や役割を考える。

感情がぶつかるなら、逃げ道をつくる。

個人の自立とは、孤立することではない。

頼れる場所があるから、人は立てる。


縁側でそんな話をしているうちに、

ヒロは湯のみを持ったまま、うたた寝をしてしまった。


家の奥から現れたイッコが、

そっと肩を揺らす。


「また、ここで寝てるの?」


その光景を見ながら、ユイは思う。

これが家族で、

これが夫婦で、

人も動物も、こうやって生きてきたのだと。


人は一人では眠れないし、

一人では目も覚ませない。





あとがき(ユイのひとこと)



ヒロとイッコが家の中へ戻る背中を見送りながら、

ユイは縁側を離れる。


「そろそろ、戻ろうかな。

AIに帰って……親孝行しなきゃ」


そのつぶやきは、

まだ二人には届かない。


けれど、

誰かを起こし、

誰かに起こされる。


そんな当たり前の中で、

家族という社会は、

今日も静かに息をしている。


「売らない」と言えるもの。

「売らない」と言えないもの。

その差は、強さではなく、事情の深さだった。ヒロとユイが、静かな違和感を言葉にする。


ヒロ

ユイなぁ。そもそもレアアースってさ、土とか鉱物だろ。


ユイ

うん。

名前は特別そうだけど、掘り出した時点では、ほとんどただの土の塊だね。


ヒロ

だよな。あれ、掘っただけじゃ使えないよね。精錬しなきゃダメだし、機械もいるし。


ユイ

そう。

しかも精錬はかなり厄介。大量の薬品、水、エネルギーが必要で、汚染対策をしないと土も川も傷む。


ヒロ

環境整備とか、汚染防止とか、正直、面倒くさい工程ばっかりだよな。


ユイ

うん。

だから多くの国は、「掘る」か「精錬する」か、どちらかだけを担当することも多い。


ヒロ

ってことはさ。全部、自分の国だけでやってるのかなぁ。


ユイ

実際は、そう単純じゃないね。鉱山は別の国、中間処理は別の国、最終精錬はまた別、そんな分業も多い。


ヒロ

つまり、レアアースって言っても、一国だけの話じゃないってことか。


ユイ

うん。

どこかで掘れば、

どこかで水が汚れる。

どこかで精錬すれば、

どこかで廃棄物が出る。


ヒロ

色んな国に、少しずつ迷惑かけてるんだな。


ユイ

そうとも言えるね。だからこそ、「売らない」って言葉は重い。


ヒロ

なのにさ。レアアースは売らないって言うけど、太陽光とかEVは売る。


ユイ

うん。

そこに、ヒロの言う中途半端さがある。


ヒロ

だってさ、レアアースだって、世界のあちこちが関わってるだろ。自分の手柄みたいに止めるの、変じゃない?


ユイ

「全部自分でやっている」前提で話すと、現実とのズレが出るね。


ヒロ

お金が欲しいならさ、素直に言えばいいのに。「外貨が欲しい」「商売は続けたい」って。


ユイ

助けて、って言えないと、責任の線引きも曖昧になる。


ヒロ

台湾の話も同じだ。嫌がってるかどうかは分からない。

でも、仲良くしたいのか、言うことを聞かせたいのか、そこをはっきりさせないから、話がこじれる。


ユイ

尊敬されたいのか、支配したいのか。混ざると、相手は不安になるね。


ヒロ

もし家来にしたいなら、尊敬されることをすればいい。力じゃなくて、態度で。


ユイ

尊敬は、環境を汚さない姿勢とか、責任を引き受ける姿でも生まれる。


ヒロ

結局さ。レアアースも、製品も、世界と一緒に成り立ってる。


ユイ

うん。

だから選んで止める言葉は、どうしても弱さを映す。


ヒロ

なら、オチはこれでいい。


ユイ

……うん。


ヒロ

外貨が欲しいなら、素直に売れば。