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砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

仏教と儒教―どう違うか50のQ&A (新潮選書)
新潮社
ひろ さちや(著)
発売日:1999-06



やっぱり日本人の精神は仏教と儒教ではないかと思い、古本屋で見かけたので購入。50のQ&Aによって仏教と儒教の教えと、その違いについて説明してある。選書というとハードルが高そうなイメージだが、そのあたりの新書よりも分かりやすくなっている。

ひろさちや氏は釈迦の教えをあえてまとめると「如実知見」だとしている。世界をあるがままに知見する。思うがままにならないことを、これは思うがままにならないことだとして「苦」にしない。「苦」とはサンスクリット語で「思うがままにならないこと」という意味だそうだ。

孔子の教えは「徳治主義」となる。法律と刑罰ではなく、徳と礼をもって人民を統治されることを主張していた。これは政治だけでもなく、日常生活のなかでの人間関係についても大事だとされている。

などと基本的なところから始まり、仏教と儒教の歴史など幅広い内容だが、著者が特に力を入れて書いているのは、どちらの教えも日本に伝わってくるまでに変化してしまっているということだ。仏教も儒教も死後の世界については語らないという教えであるなど、現在の日本で考えられているものとは大きく違っているという。

こうした内容に興味があるから読んだものの、僕のなかに切実さが足りないためか、読み終えても知識は得るものに身についた気がしない。「なるほどー」と思うだけで終わってしまう。やっぱり宗教は実践しないと理解できないのだろうか。そもそも身につけたいのか。
秋の牢獄
角川書店
恒川 光太郎(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:5.0



『秋の牢獄』『神家没落』『幻は夜に成長する』の3編が収められている。それぞれ独立した物語だが、そこで描かれている、孤独に捕らわれた絶望感と、そこに垣間見える幸福な一瞬が心に残る。

『秋の牢獄』の主人公は、11月7日に閉じ込められる。何度も繰り返される11月7日。どんな1日を過ごそうとも、また11月7日になる。大学では同じ講義が始まり、友人に同じ話を聞かされる。『神家没落』はデビュー作に収録されていた『風の古道』を思い出させる異界の世界。ある青年がが迷い込んだ屋敷から出られなくなる(正確にはその敷地内から)という物語。『幻は夜に成長する』は心の奥に閉じこもる。特殊な能力を身につけたため、操り人形のような存在に祭り上げられた女性が主人公だ。

見事なホラー小説だが、ホラーの要素自体が恐怖の対象ではない。現実と異界は自然と繋がっている。現実が崩れる落差ではなく、幸福と絶望の落差で読ませる。それらをシンプルな文体で描いているのが、より寓話的な雰囲気をだしていて、遠野物語の世界観と近く思えるのかも知れない。全てが独立した物語であるのに、過去の作品も含めて同じ世界観の空気が流れているのも魅力的だ。

『夜市』が直木賞候補だったので、切れ味を増したこの作品なら直木賞を受賞してもおかしくない。


夜市
角川書店
恒川 光太郎(著)
発売日:2005-10-26
おすすめ度:4.0
雷の季節の終わりに
角川書店
恒川 光太郎(著)
発売日:2006-11
おすすめ度:4.5

Amazy
11月は豪華ラインナップ。あまり本を読まない人から、本好きの人まで幅広い客層をカバーしている。毎月こんなのだったらいいのに。


ロング・グッドバイ (角川文庫 (や31-5))
角川書店
矢作 俊彦(著)
発売日:2007-11
新編かぶりつき人生 (河出文庫 た 20-5)
河出書房新社
田中 小実昌(著)
発売日:2007-11-02
袋小路の男 (講談社文庫 い 113-2)
講談社
絲山 秋子(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:4.0
空の境界 上 (1) (講談社文庫 な 71-1)
講談社
奈須 きのこ(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:4.5
明日の記憶 (光文社文庫)
光文社
荻原 浩(著)
発売日:2007-11-08
おすすめ度:4.5
gift (集英社文庫 ふ 23-3)
集英社
古川 日出男(著)
発売日:2007-11
いま、会いにゆきます (小学館文庫 い 6-2)
小学館
市川 拓司(著)
発売日:2007-11-06
おすすめ度:2.0
間宮兄弟 (小学館文庫 え 4-1)
小学館
江國 香織(著)
発売日:2007-11-06
おすすめ度:4.0
100回泣くこと (小学館文庫 な 6-1)
小学館
中村 航(著)
発売日:2007-11-06
おすすめ度:4.5
東京奇譚集 (新潮文庫 む 5-26)
新潮社
村上 春樹(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:5.0
絵描きの植田さん (新潮文庫 い 76-6)
新潮社
いしい しんじ(著)植田 真(イラスト)
発売日:2007-11
テースト・オブ・苦虫 1 (1) (中公文庫 ま 35-1)
中央公論新社
町田 康(著)
発売日:2007-11
チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 599)
宝島社
海堂 尊(著)
発売日:2007-11-10
おすすめ度:4.5
チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ [宝島社文庫] (宝島社文庫 (600))
宝島社
海堂 尊(著)
発売日:2007-11-10
おすすめ度:5.0
回転ドアは、順番に (ちくま文庫 ほ 20-1)
筑摩書房
穂村 弘(著)東 直子(著)
発売日:2007-11
感光生活 (ちくま文庫 こ 31-1)
筑摩書房
小池 昌代(著)
発売日:2007-11
セル 上巻 (1) (新潮文庫 キ 3-56)
新潮社
スティーヴン・キング(著)白石 朗(翻訳)
発売日:2007-11
おすすめ度:5.0
セル 下巻 (新潮文庫 キ 3-57)
新潮社
スティーヴン・キング(著)白石 朗(翻訳)
発売日:2007-11

Amazy
11月発売までが本屋大賞の候補なので、これで出揃ったわけだど、今年は本命不在らしく、何が受賞するのか楽しみ。


クローバー
角川書店
島本 理生(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:4.0
ホルモー六景
角川書店
万城目 学(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:4.5
ゴッドスター
新潮社
古川 日出男(著)
発売日:2007-11
ゴールデンスランバー
新潮社
伊坂 幸太郎(著)
発売日:2007-11-29
おすすめ度:4.5
永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢
講談社
重松 清(著)
発売日:2007-11-21
おすすめ度:5.0
ダイイング・アイ
光文社
東野 圭吾(著)
発売日:2007-11-20
おすすめ度:4.0
HEARTBLUE (ミステリ・フロンティア 40)
東京創元社
小路 幸也(著)
発売日:2007-12
仏果を得ず
双葉社
三浦 しをん(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:4.0
マザコン
集英社
角田 光代(著)
発売日:2007-11
おすすめ度:5.0
無間道
集英社
星野 智幸(著)
発売日:2007-11
The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day
集英社
乙一(著)荒木 飛呂彦(イラスト)
発売日:2007-11-26
おすすめ度:4.0
オン・ザ・ロード (世界文学全集 1-1) (世界文学全集 1-1)
河出書房新社
ジャック・ケルアック(著)青山南(翻訳)
発売日:2007-11-09
おすすめ度:5.0
ジャンブリーズ
河出書房新社
エドワード・リア(著)エドワード・ゴーリー(イラスト)柴田 元幸(翻訳)
発売日:2007-11



Amazy
我が書店ではSIGHTの配本がゼロ。入ってこない本ばかり欲しくなる。

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SIGHT (サイト) 2008年 01月号 [雑誌]
ロッキング・オン
発売日:2007-11-30