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砂場

本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

本屋大賞の一次投票の受付が始まりました!
今年は何に投票しようか。


モダンタイムス (Morning NOVELS)
伊坂幸太郎
講談社
発売日:2008-10-15

本の狩人―読書年代記
山口昌男
右文書院
発売日:2008-10

おかしな時代
津野海太郎
本の雑誌社
発売日:2008-10-02

「本の雑誌」炎の営業日誌
杉江由次
無明舎出版
発売日:2008-10-21

庵堂三兄弟の聖職
真藤順丈
角川グループパブリッシング
発売日:2008-10-24

僕の好きな人が、よく眠れますように
中村航
角川グループパブリッシング
発売日:2008-10-30

真説・外道の潮騒
町田康
角川グループパブリッシング
発売日:2008-10-31

サラミスの兵士たち
ハビエル・セルカス
河出書房新社
発売日:2008-10

幻影の書
ポール・オースタ
新潮社
発売日:2008-10-31

未見坂
堀江敏幸
新潮社
発売日:2008-10

ぼくは夜に旅をする
マーシュ・キャサリン
早川書房
発売日:2008-10-23

探索者 (海外SFノヴェルズ)
ジャック・マクデヴィッド
早川書房
発売日:2008-10-23

星のしるし
柴崎友香
文藝春秋
発売日:2008-10

俺だって子供だ!
宮藤官九郎
文藝春秋
発売日:2008-10

ミスター・ミー (海外文学セレクション)
アンドルー・クルミー
東京創元社
発売日:2008-10

それ自身のインクで書かれた街
スチュアート・ダイベック
白水社
発売日:2008-10

秘密のおこない
蜂飼耳
毎日新聞社
発売日:2008-10-24

正直書評。
豊崎由美
学習研究社
発売日:2008-10

ギンイロノウタ
村田沙耶香
新潮社
発売日:2008-10

軽くなる生き方
松浦弥太郎
サンマーク出版
発売日:2008-10-17

帯にも裏表紙にも書いていませんが(解説にはあります)、『20世紀の幽霊たち』の作者ジョー・ヒルはスティーヴン・キングの息子です。


20世紀の幽霊たち (小学館文庫 ヒ 1-2)
ジョー・ヒル
小学館
発売日:2008-09-05

その日のまえに (文春文庫 (し38-7))
重松清
文芸春秋
発売日:2008-09-03

あいうえおちゃん (文春文庫 も 20-2)
森絵都・荒井良二
文藝春秋
発売日:2008-09-03

終わりからの旅 (朝日文庫 つ 13-1)
辻井喬
朝日新聞出版
発売日:2008-09-05

ナイチンゲールの沈黙(上) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)

ナイチンゲールの沈黙(下) [宝島社文庫] (宝島社文庫 C か 1-4 「このミス」大賞シリーズ)

寄宿生テルレスの混乱 (光文社古典新訳文庫 Aム 1-1)
ムージル
光文社
発売日:2008-09-09

夜明けの家 (講談社文芸文庫 ふA 6)
古井由吉
講談社
発売日:2008-09-10

武満徹エッセイ選―言葉の海へ (ちくま学芸文庫 タ 26-2)

カフカ・セレクション 2 (2) (ちくま文庫 か 13-3)
カフカ
筑摩書房
発売日:2008-09-10

時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1) (ハヤカワepi文庫 ハ 1-1)
アントニイ・バージェス
早川書房
発売日:2008-09-05

タナーと謎のナチ老人 (創元推理文庫 M フ 11-3)
ローレンス・ブロック
東京創元社
発売日:2008-09

魔王 (講談社文庫 い 111-2)
伊坂幸太郎
講談社
発売日:2008-09-12

本当はちがうんだ日記 (集英社文庫 ほ 20-1)
穂村弘
集英社
発売日:2008-09

紗央里ちゃんの家 (角川ホラー文庫 や 3-1)
矢部嵩
角川グループパブリッシング
発売日:2008-09-25

レヴォリューション No.3 (角川文庫 か 50-2)
金城一紀
角川グループパブリッシング
発売日:2008-09-25

ポーの話 (新潮文庫 い 76-8)
いしいしんじ
新潮社
発売日:2008-09-30

バタバタしていたので、今頃になって夏真っ盛りの本たち。



ハローサマー、グッドバイ (河出文庫 コ 4-1)
M・コーニィ
河出書房新社
発売日:2008-07-04


サンリオ文庫からの新訳復刊。ノスタルジックなアメリカの雰囲気を持つボーイミーツガールSF小説。読んでいて気恥ずかしいぐらいの青春恋愛だが、戦争の陰が忍び寄る後半からの盛り上がる。父親に対する息子の反発や、役人と市民の対立、恋愛における悲喜こもごもなど、普遍的なテーマを丁寧に描き込みながら、それらをSF小説として見事にまとめあげるラストは脱帽。



こちらもSF復刊作品。タイムマシンで過去に投げ出された男の奇妙な人生を描いている。名作と呼ばれるだけあって、現代と過去の対比によって、過去の世界の魅力を引き出す面白さや、現代の知識を武器に過去の世界で奮闘するさまなど、タイムマシン小説の王道の魅力が満載。もちろんタイムマシン小説の最大の読みどころは、過去を変えることによって受ける現代の影響だが、時間軸をずらした章立てによって、その魅力が最大限に生かされている。



ひゃくはち
早見和真
集英社
発売日:2008-06-26

補欠だがチームのムードメーカー的な高校球児が、大人になってから当時を回想するという構成になっている。ひたすら野球に明け暮れ、でも、休日は合コン三昧という野球部員たち。適度な馬鹿っぽさがリアルな高校球児を描いて共感の嵐で映画化ということだが、超文科系引き込もり学生時代を送った僕としては馴染めない。それどころか、クラスの体育会系男子と仲良く慣れなかった当時を思い出して、悲しくなるぐらいだ。そしてやっぱり、この世界観・人生観にはついていけないなと、あらためて思い知る。

ギフト
日明恩
双葉社
発売日:2008-06-17



幽霊が見える少年はいつも怯えている。暗い過去を背負った男はいつも自分を蔑んでいる。社会から目を逸らして生きる二人は偶然出会い、そこで成仏できない幽霊を救ったことにより、少しづつ前を向いて生きる道を歩みだす。読みやすい文体で、ドラマ化などに向いていそうなハートフル・ヒューマンドラマ小説。




今月は復刊を読む月間にしていたので、こちらも復刊。戦争・戦後を描いた短編集だが、戦車とか戦艦はまったくでてこなくて、後方部隊の兵士などが主人公。絶望に押し潰され死への覚悟をしながらも、微かに湧き上がってくる生きることへの執着に自ら戸惑う。そんな、思考と感情に引き裂かれて言葉を失い剥き出しになった人間の姿が、端正で美しい文章で描かれていて惹きこまれる。


カラスの親指 by rule of CROW’s thumb


擬似家族的な共同生活と、ヤクザ組織相手に大規模な詐欺を企てるコン・ゲームという、ほのぼの+ミステリー小説。前作『ラットマン』は本格推理で評判がよかったが、こういう作品のほうが好きかも。今年度のこのミスにこの2作はランクインすべきかと思う。今後の作品も要チェックな実力派作家だ。



古本屋めぐりが楽しくなる―新・文學入門
岡崎武志・山本善行
工作舎
発売日:2008-06-24



売れっ子古本ライターとして大活躍の二人による、古本談義が面白くないわけがない。ほとんど知らない作家の話ばかりだが、紹介されるどの本も読みたくなる。古本好き、古本屋好きは当然のごとく必読書。この本を学校で無料配布したら、全国の古本屋の売り上げは倍増するのではないだろうか。



ゼロ年代の想像力
宇野常寛
早川書房
発売日:2008-07-24


大塚英治には違和感ありまくりで、東浩樹もなんだか賛同しづらいなと思っていた僕にとって、やっと共感できるオタク評論家が現れたという感じだ。もちろん全てにおいて完璧だとは思わないが、僕がオタク文化に嵌まりきれない違和感を説明してくれているような気がする。

最近は翻訳物が気になります。


ライト
M・ジョン・ハリスン
国書刊行会
発売日:2008-09

なみのひとなみのいとなみ
宮田珠己
朝日新聞出版
発売日:2008-09-19

たいようオルガン
荒井良二
偕成社
発売日:2008-09

大友良英のJAMJAM日記
大友良英
河出書房新社
発売日:2008-09

ディフェンス 新装版
ウラジーミル・ナボコフ
河出書房新社
発売日:2008-09

鉄の時代 (世界文学全集 1-11)
J・M・クッツェー
河出書房新社
発売日:2008-09-11

ありったけの話
中山智幸
光文社
発売日:2008-09-20

聖家族
古川日出男
集英社
発売日:2008-09

偏路
本谷有希子
新潮社
発売日:2008-09

小説、世界の奏でる音楽
保坂和志
新潮社
発売日:2008-09

ばかもの
絲山秋子
新潮社
発売日:2008-09

夜のスイッチ
ブラッドベリ
晶文社
発売日:2008-09

雑談王―岡崎武志バラエティ・ブック
岡崎武志
晶文社
発売日:2008-09

ことば汁
小池昌代
中央公論新社
発売日:2008-09

図書館愛書家の楽園
アルベルト・マングェル
白水社
発売日:2008-09

ノリーのおわらない物語 (白水Uブックス 172 海外小説の誘惑)
ニコルソン・ベイカー
白水社
発売日:2008-09

マーブル・アーチの風(プラチナ・ファンタジイ) (プラチナ・ファンタジイ)

血液と石鹸 (ハヤカワepiブック・プラネット)
リン・ディン
早川書房
発売日:2008-09-26

小銭をかぞえる
西村賢太
文藝春秋
発売日:2008-09

我ながらバランスのとれたラインナップだと思う。巷で評判の本ばかりなので、僕としては「ゆん」がお勧め。



戦後の精神史を「理想の時代」「虚構の時代」「不可能性の時代」と分類して社会学の視点から分析する。僕には難しくて全てを把握することは無理だったけど、理解できる断片的な部分だけでも面白く刺激的なものだった。「現実から逃避」するのではなく「現実へと逃避」するという指摘にものすごく納得した。小説を読む動機にも「虚構への逃避」ではなく「現実への逃避」があるに違いない。



読書の腕前 (光文社新書 294)
岡崎武志
光文社
発売日:2007-03


古本ライター岡崎氏の読書履歴書&読書論。関西人らしい軽妙な語り口で、名作に関する知識や読書論として本との接しかたなど勉強になることがたくさん書いてあるけれど、なによりも読んでいて自分がもっと本が読みたくなる。活字中毒者にとって火に油を注ぐ本と言える。



さよなら渓谷
吉田修一
新潮社
発売日:2008-06
 

前作『悪人』と近い物語構造(犯罪者=悪という図式を壊しつつ、純愛劇へと移行)を持っている。『悪人』が群像劇の長編だったのに比べると、こちらの方が物語が短くて焦点が明確になって切れ味が鋭い。幸福や不幸、愛や憎しみという分かりやすい感情を捨て去り、ただ人として生きるめだけの場所にかろうじてたどりつく。これが満たされた人生だとするならば、人が生きるとはなんと苦しいものだろうとか。胸の奥がザワザワと波打つ物語だ。



終わりは始まり
中村航&フジモトマサル
集英社
発売日:2008-05
 

雑誌連載の単行本化。投稿された回文のイメージでフジモトマサルがイラストを描き、そのイラストのイメージで中村航が短い物語を書く。イラストと物語のレベルの高さはもちろんのことながら、やはり特筆すべきは回文の持つ不思議な力だ。「さみしさの刺身さ」「島、けだるく子猫来るだけマシ」「幸実れ、わがまま気ままの我が道さ」「古典的な機転、テコ」どちらから読んでも同じというだけなのに、どうして回文というだけでこんなに面白いのだろう。「バレてもいい、モテれば」



グ、ア、ム
本谷有希子
新潮社
発売日:2008-06


高校卒業後、何も考えず東京にでて、ジャズバーでバイトなどするお洒落っぽい姉と、地元で堅実に勉強をして大阪の信用金庫に勤める真面目なでも、私服のセンスは田舎的ヤンキーの妹と、そういうわけで仲があまりよろしくない二人の間を取り持とうと空回りをする典型的なオカンキャラの母という3人によるグアム旅行珍道中。ほとんどコントのような展開でありつつも、それぞれの、いかにもありそうなキャラを徹底して描くことで見えてくる人間のパターンというのが興味深い。





世界の裏で暗躍する秘密結社。その最高機関は7人で構成されていて、それぞれ曜日の名前が割り振られる。その組織を壊滅させようとスパイとして潜入し「木曜日」となった男が主人公。奇抜な設定で、ベタな展開のな冒険活劇かと思いきや、かなりのアクロバティックな展開にて驚天動地の終盤。曜日ごとのそれぞれのキャラが立っていて、ラノベ的な面白さがありつつも、前衛的な古典(?)といった格調高い趣があって、独特の味わいが楽しめる。その昔、僕が好きだったゲーム「街」の元ネタがこれかと初めて知った。


ザ・ロード
コーマック・マッカーシー
早川書房
発売日:2008-06-17


無法地帯となったアメリカを南へと向かう父と子。核戦争なのか、世界に何が起こったのかわからない。ただ、人口は圧倒的に少なくなり、政府はもちろん、社会的なものは何一つ機能していない。わずかに生き残ったものが食料を奪い合う世界。父のモノローグと父と子のダイアローグが断片のように記される。ショッピングカーに荷物を載せて、飢えに苦しみ、人狩りに怯え、父は子に希望を語りながら進むが、自らは絶望に縛られて悪夢にうなされる。父は子に何をしてやれるのか、子は何を糧に生きていけばいいのか。ただ道を進むことしか出来ない世界で、その進むことの意味すら見失っていく物語を、静謐な筆致で描く。見事な傑作。


ゆん
山本精一
河出書房新社
発売日:2008-03


関西を中心に活動する音楽家・山本精一氏によるエッセイ集。ライブに行ったことあります。山本氏の参加する羅針盤というバンドが大好きでした。パンクスとはこうあるべきという生き様が書かれてあり、過剰と欠落に溢れた日々は、読みながら笑いと困惑と不可解が入り混じり、読み応え抜群です。多彩な方で活動も幅広いですが、エッセイにもぜひ力をいれて欲しいと思います。