サンリオ文庫からの新訳復刊。ノスタルジックなアメリカの雰囲気を持つボーイミーツガールSF小説。読んでいて気恥ずかしいぐらいの青春恋愛だが、戦争の陰が忍び寄る後半からの盛り上がる。父親に対する息子の反発や、役人と市民の対立、恋愛における悲喜こもごもなど、普遍的なテーマを丁寧に描き込みながら、それらをSF小説として見事にまとめあげるラストは脱帽。
こちらもSF復刊作品。タイムマシンで過去に投げ出された男の奇妙な人生を描いている。名作と呼ばれるだけあって、現代と過去の対比によって、過去の世界の魅力を引き出す面白さや、現代の知識を武器に過去の世界で奮闘するさまなど、タイムマシン小説の王道の魅力が満載。もちろんタイムマシン小説の最大の読みどころは、過去を変えることによって受ける現代の影響だが、時間軸をずらした章立てによって、その魅力が最大限に生かされている。
補欠だがチームのムードメーカー的な高校球児が、大人になってから当時を回想するという構成になっている。ひたすら野球に明け暮れ、でも、休日は合コン三昧という野球部員たち。適度な馬鹿っぽさがリアルな高校球児を描いて共感の嵐で映画化ということだが、超文科系引き込もり学生時代を送った僕としては馴染めない。それどころか、クラスの体育会系男子と仲良く慣れなかった当時を思い出して、悲しくなるぐらいだ。そしてやっぱり、この世界観・人生観にはついていけないなと、あらためて思い知る。
幽霊が見える少年はいつも怯えている。暗い過去を背負った男はいつも自分を蔑んでいる。社会から目を逸らして生きる二人は偶然出会い、そこで成仏できない幽霊を救ったことにより、少しづつ前を向いて生きる道を歩みだす。読みやすい文体で、ドラマ化などに向いていそうなハートフル・ヒューマンドラマ小説。
今月は復刊を読む月間にしていたので、こちらも復刊。戦争・戦後を描いた短編集だが、戦車とか戦艦はまったくでてこなくて、後方部隊の兵士などが主人公。絶望に押し潰され死への覚悟をしながらも、微かに湧き上がってくる生きることへの執着に自ら戸惑う。そんな、思考と感情に引き裂かれて言葉を失い剥き出しになった人間の姿が、端正で美しい文章で描かれていて惹きこまれる。
擬似家族的な共同生活と、ヤクザ組織相手に大規模な詐欺を企てるコン・ゲームという、ほのぼの+ミステリー小説。前作『ラットマン』は本格推理で評判がよかったが、こういう作品のほうが好きかも。今年度のこのミスにこの2作はランクインすべきかと思う。今後の作品も要チェックな実力派作家だ。
売れっ子古本ライターとして大活躍の二人による、古本談義が面白くないわけがない。ほとんど知らない作家の話ばかりだが、紹介されるどの本も読みたくなる。古本好き、古本屋好きは当然のごとく必読書。この本を学校で無料配布したら、全国の古本屋の売り上げは倍増するのではないだろうか。
大塚英治には違和感ありまくりで、東浩樹もなんだか賛同しづらいなと思っていた僕にとって、やっと共感できるオタク評論家が現れたという感じだ。もちろん全てにおいて完璧だとは思わないが、僕がオタク文化に嵌まりきれない違和感を説明してくれているような気がする。






