『マウス』村田沙耶香/講談社文庫 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

マウス (講談社文庫)
マウス (講談社文庫)
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村田 沙耶香
講談社 (2011-03-15)
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人間関係を怖がる少女と、人間を怖がる少女が、それぞれ仮面をかぶりながら生きていく。村田沙耶香らしく、いつも通りのゆがんだ世界でゆがんだ人間模様が繰り広げられるかと息を潜めて読んでいたら、中盤以降から僕の予想もしなかった展開になって驚く。よく考えたらこういう流れのほうが王道なわけだが、ここまで極端な人物設定で、こんなウェルメイドな物語になるとは思いもよらなかった。

学校というのはスーパーのようなもので、私達は陳列されているのだと、私はようやく気づき始めていた。私達を評価するのは大人たちだと、私はずっと思っていて、いい子であるようにつとめていた。けれど、本当の買い手は生徒たちの方だったのだ。
P32-P33


他人に嫌われないようイジメられないよう「人畜無害」という仮面をかぶり、友人の話題に置いて行かれないように細心の注意をはらって日々を過ごす小五の少女・律。ちょっとした事で大泣きして教室を飛びだしていく同級生・瀬里奈。律は瀬里奈のことがずっと気になっている。それは友人もいなくてクラス中から嫌われている瀬里奈が可哀想だとかではなく、律にとっては瀬里奈が「自由」にみえるから。「ありのままの自分」とは何か。「自由」とは何か。「臆病」とは「勇気」とは何か。二人の視線が重なり合うことで、それぞれの新たな道がみえてくる。

ネタバレになるからあまり書かないけど、ラストシーンがとても好きだ。