『絶叫委員会』 穂村弘/筑摩書房 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

絶叫委員会
絶叫委員会
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穂村 弘
筑摩書房
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穂村弘が持つ言葉に対する並外れた嗅覚をいかんなく発揮したエッセイ集。電車内での若者の言葉の独自の世界に打ちのめされ、美容室では「おかゆいところは、ございませんか」という質問に戸惑い、その優雅さを台なしする「噛みつきますから、白鳥に近づかないで下さい」という動物園の張り紙に目を疑う。なんといっても秀逸なのは、表紙にもある「でもさっき、そうおっしゃたじゃねぇか」というサラリーマンの叫び。

世界の片隅にうもれている、不可思議な言葉たちを拾い上げ、そこに自らに人間性をぶつけ正面から向きあっていく。読んでいて穂村弘は本当に言葉が好きなんだなと思う。ただ笑えるフレーズを見つけて喜んでいるのではなく、ここまで深く潜っていけるのは言葉に対する強烈な愛情があるからだろう。既存の世界を打ち壊し、独自の世界を作り上げる言葉たちへの羨望と、世界から切り離され打ち捨てられた言葉たちへの共感が相まって、まさに穂村弘にしか書けない独特の脱力感のある世界が生みだされる。