順位はつきましたが、書店員が自信を持って選んだ10作品はもちろんどれもおすすめです。といっても人によって好みが分かれるのは当然ですので、ぜひ10作品の中から自分にとっての大賞を見つけて下さい!
というわけで10作品全作紹介いたします。
過去の本屋大賞紹介はこちら。(画像リンク切れたりしてます、すいません)
2009年本屋大賞
2008年本屋大賞
2007年本屋大賞
2006年本屋大賞
2005年本屋大賞
1位
圧倒的大差で本屋大賞受賞!
好奇心溢れるひとりの若者が、江戸幕府の沽券にかかわる壮大なプロジェクトの中心人物となっていく生涯を描いた時代小説。個性的で愛すべき様々な人たちが彼を支え、彼に夢を託していく。それらを一心に背負い、自らの才能と熾烈な戦いを繰り広げながら、前へと進んでいくその姿が、胸を打つ。
「囲碁」「算術」「天文学」という専門的な分野を描きながらも、予備知識ゼロで読むことができる内容。超文系の僕でも問題なかった。知らないだけに興味がわいて、物語に引き込まれる。とにかく登場人物たちが魅力的で、展開も目まぐるしく、ページを捲るのがもどかしいほど。こういう小説がたくさん出てきたら、日本の小説界の未来も明るいのではないかと思われる傑作です!
2位
信州の小さな病院で、人手不足のため不眠不休で働く内科医。持ち前の飄々としたキャラクター。変人(?)揃いのアパートの住人たちとの交流や、愛する妻とのほのぼのエピソードが読んでいて心地よい。最先端医療ばかりが重要視されるなか、医者と患者がどう向き合うべきなのか。シンプルながら大切なテーマを正面から描いた快作です。
『天地明察』の壮大さとは真逆の、身近な日常の大切さを丁寧に描いたこの物語が多くの方に支持され見事に2位にランクインしたことは素直に喜びたいと思います。とても文章が読みやすいので、普段あまり本を読んでいない方などに特におすすめしたいです。
3位
田舎からでてきた青年の大学での一年間が描かれる。どこかとぼけた味わいの、真っ直ぐな心を持った愛べきキャラの横道世之介。印象的なエピソードが満載で、そこが読みどころでもあるけれど、何より彼のキャラクターが、この物語を魅力的なものにしている。
そして、ときおり挿入される、大学時代に横道世之介に出会った人たちの回想が、この物語に奥行きを与え、全てのエピソードの面白さを倍増させている。気ままな世之介のキャラと、重みのあるエピソードの落差。学生の自由な生活と、社会に出た登場人物たちの厳しい現実の人生。もし本屋大賞にキャラクター部門があればきっと1位は横道世之介で決まりでしょう。 記憶に残るだけでなく、心にも残る物語です。
4位
高校の先生と親が一方的に決めた就職先に、いやいやながらひとり旅立つ主人公。絵に描いたような何もないド田舎での過酷な林業の仕事に、何度も逃亡を繰り返しながらも、いつしかその圧倒的な自然の魅力と林業という仕事のやりがいに気付いていく。、あの宮崎駿も絶賛した林業をテーマにした青春・成長小説。
絶対的な「自然」と「信仰」の中で長年ずっと暮らす村社会。そこでは、その自然をただ絶賛するのでもなく、もちろん田舎を時代遅れと馬鹿にするのでもなく、それらを「なあなあ」と見つながら共に歩んできた。その自然と人間が共存するための「林業」という仕事がある。「なあなあ」とは三重県方言で「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」といった意味の言葉。かなり派手な展開を繰り広げつつも、それれが「なあなあ」と日常に流れていくこの世界観がなんとも居心地のいい空気を生みだしていて、ずっと読んでいたくなります。
5位
チェスの天才、生まれつき閉じられた唇、大きくなりすぎた象、古びた回送バス、甘いお菓子、ためらいがちな言葉、壁と壁の間に挟まれた少女、白と黒の升目、ポーンという名の猫、自動人形、肩に乗った鳩。
とても美しくて哀しい物語。少し触れるだけでこの物語を壊してしまいそうに思えて、何と書いていいのか分からない。とにかく読んで欲しい、としか言葉がでてこない。この世界観が好きな人にとっては生涯の一冊になり得る素晴らしい物語です。
6位
いじめをテーマにしながらも、神なき世界をどう生きるかという哲学的な問題意識が描かれつつ、恋愛小説や青春小説という直球の読みにも耐えうる強度を持った小説。主人公と同じくいじめられる同級生の女子との関係を軸に物語りは進んでいく。残酷ないじめの描写と、彼女との静謐な手紙のやり取り。張り詰める緊張感と、それが少しだけ緩む二人の対話。
今までの作品の饒舌な文体を捨て、読みやすくなったかと思いきや息の詰まる展開に目の前が暗くなる。いじめとは何か、善とは何か、悪とは何か、強さとは何か、弱さとは何か。胸を締め付けるラストシーンの美しさは今回の10作品の中でも随一です。
7位
音楽一家に生まれたチェリストの少年が主人公。爽やかさを前面に押し出した青春小説として素晴らしい前半と、急転直下して若さゆえの過ちと苦悩を綴った切実な後半。そして全編に渡って鳴り響く音楽。そのメロディは祝福であり、審判でもある。喜びと、悲しみと、希望と、絶望と、全てが音楽とともにある。
読み終えてからもうだいぶ時間がたつのに、いまだ余韻の中にいるような気がする。他では味わえない読書体験。僕はこの作品を迷わず1位で投票しました。
8位
主人公の女性は道端で行き倒れていた男性を拾って一緒に暮らすこととなる。その男性はとても植物に詳しく野草や山菜を取って料理するという意味と、同棲しながらもまったく主人公には手をださないという意味において「草食系」男子。
その微妙な恋愛関係など、読んでいて恥ずかしくなるぐらいの超王道のベタベタなラブコメ展開に。でも同じラブコメ路線でも、捻りをくわえた『図書館戦争』よりも、こっちのほうが個人的に好きだった。お約束の展開も、ここまで直球でくると様式美として楽しめるのだなと新発見。直球ならではの破壊力に ブクログ大賞も受賞するなど、超人気作です。
9位
日本橋に赴任した新参者の刑事・加賀が、殺人事件の被害者や容疑者の足取りを追う中で、商店街の人たちに関わる謎を解いていく。それぞれの縺れた糸をほどいたとき見えてくる、人の優しさや温かさが胸を打つ。ミステリーと人情話が絶妙に融合した連作小説の傑作。
現在ドラマも放映中というベストセラー作品なので9位になりましたが、「このミステリーがすごい」と「週刊文春ミステリーベストテン」で1位になるなど、その面白さは保証付。読む本を迷ったら東野圭吾!
10位
『BOOK1』と『BOOK2』の合計で230万部を超える超ベストセラー。そんなに売れているのに、なぜノミネートされているのか、本屋大賞の趣旨と違うのではないかと非難の声もありましたが、それは単純なことで、投票した人がとにかくこの作品が好きだからです。書店員というのは給料も待遇も悪く「とにかく本が好き」という人が多い職業です。そういう人たちが集まって投票すれば「とにかく好き」という作品に票が入るのは必然のこと。ここまで愛される『1Q84』という小説はとても幸せだなと思います。












