『詩の力』 吉本隆明/新潮文庫 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

詩の力 (新潮文庫)
詩の力 (新潮文庫)
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吉本 隆明
新潮社 (2008-12-20)
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吉本隆明が有名な現代詩人たちについて雄弁に語っている。一般人には敷居の高い現代詩の世界の見通しをよくする入門書として最適。ここで紹介されているのは、谷川俊太郎、田村隆一、塚本邦雄、岡井隆、夏石番矢、吉増剛造、西條八十、中島みゆき、松任谷由美、宇多田ヒカル、俵万智、佐佐木幸綱、寺山修二、角川春樹、野村喜和夫、城戸朱里、鮎川信夫、近藤芳美、西東三鬼、吉岡実、谷川雁、入沢康夫、天沢退二郎、茨木のり子、永瀬清子、清岡卓行、大岡信、飯島幸一。

私たちが生きていくうえで重要と考えているものが、谷川さんの詩にはない。それは故意には無意識の資質からか排されていて、しかもニヒリズムからそうしているわけではないと思える。このあたりがとても不思議で、谷川さんの詩を興味深く考える理由の一つだ。P22

つまり、鳥を心の中の風物に変えてしまっている。象徴や比喩として心に入れたのではない。本当に、空を飛ぶ鳥を心の中に入れてしまっているのだ。これが田村さんのたぐいまれな力量だ。P28

傾向として岡井さんの短歌ではイメージの背景に必ず実景が考えられているのに対して、塚本さんの歌は本来的なイメージだけで作り上げられている。イメージさえ具体的に浮かんでくれば実景は伴わなくていい、空想でもいいという作り方であるといえる。P40

吉増さんの詩には、およそ現代の詩人が日本語で詩を書く時に考えられると思われる試みがすべて入っているといっていい。P57


詩というのは、いまいちどう読んだらいいのかわからない。わからないなら読まなくてもいいかと思って長年放置してきたが、最近ちらほら面白いと思う詩歌に出会うようになった。そうなると、がぜん読みたくなるのだが、いざ詩集を手にとってみるとやっぱり意味不明だ。こうして吉本隆明氏に解説されると、なるほどと感心するのだが、そのまま渡されても僕には欠片も読み解くことはできそうもないなと思う。

体系的に読んでいけば、もう少し詩が分かるようになるのかも知れないが、詩は分かるより感じるほうが楽しいような気もする。やはり今まで通り、気がむけば詩集をパラパラとめくってみて、自分の中にすっと入ってくる詩と出会えるのを待つほうがいいのだろうか。