本屋大賞には間違いなくノミネートされるであろう、今年上半期屈指の作品。本の雑誌が選ぶ「2007年上半期エンターテイメント・ベスト10」の5位。日本推理作家協会賞を受賞。残念ながら落選したが直木賞の候補にもなった。
鳥取の旧家に生きる三代の女たちを中心として描かれた物語、と言えば地味な印象かも知れないが、そこはラノベ出身の桜庭一樹(男性と思われている人がいますが、女性です)、個性豊かな登場人物たちと、息をつかせないストーリー展開は見事だ。登場人物の人生は、その時代を色濃く反映し、戦後から現在にかけての時代の変遷が、登場人物たちが生きる世界の違いとなって描かれている。
直木賞落選は、「時代が描けていない」ということを誰かが言ったのかなと思う。確かに一冊の本で昭和初期から平成の時代を描くとなると、どうしても足早になってしまう。時代を象徴する多様な価値観が描かれているが、それでもその時代の全てを描いたとは言えないのは確かだ。でも足早だからこそ見える世界がここにはあった。固定カメラを森に設置して高速再生させることによって、変化を際立たせるような、新鮮な世界がここにはある。そして、そんな脆く崩れ落ちやすい時代とともに誰もが生きているのだという、悲しみが胸を打つ。
★★★★★
■桜庭一樹の本たち
| Amazy | |||




