本日19時半、本屋大賞 の発表され、大賞は『一瞬の風になれ』に決定!
以下、ベスト10を短い推薦文つきで紹介。
大賞『一瞬の風になれ』
高校陸上部を舞台とした青春小説。物語が爽やかなので読んでいて気持ちいい。全3巻だけど長いとは感じなくて、ずっと読んでいたいと思わせる心地よい読書の時間が味わえる。魅力溢れる登場人物たち、飽きさせないストーリー展開、地道な努力の積み重ねの練習の日々と緊張感の溢れる大会、そして、心を揺さぶる感動。本屋大賞の名に相応しい傑作で、僕も自信を持ってお勧めできる作品です。
2位『夜は短し歩けよ乙女』
この作品が2位ということで、くやし涙を流した書店員も数多いかと思われる。はっきりいって、僕はくやしい。確かに万人向けかと言われると、京都を舞台として天真爛漫な女学生とストーカーまがいの大学生が繰り広げる珍道中となれば、読者を選ぶかも内容だろう。この奇天烈な内容で1位に肉薄したとなれば、大健闘と称えられてもいいのだが…。
ちょっと変わった小説が読みたいと言う人なら、迷わずこの一冊。
3位『風が強く吹いている』
箱根駅伝が舞台。ボロアパートに集まった個性溢れる大学生たちが繰り広げる青春小説。『一瞬の風になれ』と同じく陸上競技だが、こちらのほうがエンターテイメント要素が強い。素人集団が一年で箱根駅伝を目指すという無謀な設定にもかかわらず、読み応えは十分だ。読み始めはそんな無茶なと思いつつ、いつのまにか物語にのめり込んでいる自分に気づいた。ラストの箱根駅伝シーンでの物語の盛り上がり方は尋常ではない。さすが、三浦しをん。『一瞬の風になれ』とどちらに投票するか悩んだ書店員も多いかと思われる。
4位『終末のフール』
またも大賞を逃した伊坂幸太郎。だが過去、毎回ノミネートされているのは伊坂だけ。しかも2作品同時ノミネートが2回もある。ホ本屋大賞のトータル得票数ではダントツで1位だ。
本書は数年後に地球が滅ぶのが決まっている世界という設定で、そこで生きる人たちを描く連作短編集だ。重いテーマを扱いながらも無駄に暗くならない所がいい。今日、自分は生きている。そのことがどれだけ素晴らしいことか。特に実際にキックボクサーを取材して書いたという「鋼鉄のウール」は伊坂幸太郎の全ての短編のなかでも秀逸のできだ。
5位『図書館戦争』
すっかり人気シリーズとなった「図書館」シリーズの第一作。「メディア良化法」が成立した世界で、国家機関による本の検閲と戦うため武装した図書館が舞台となっている。個人的にはガイナックス制作アニメ「トップをねらえ」を思いだした。電撃大賞デビューということで、文芸書のなかではライトノベルに近い立ち位置にいる有川浩。お互いの橋渡し的な存在としてがんばって欲しいところ。
邦画バブルの今なら、派手に予算をつぎ込んで映画化もありなのではないかと期待。
6位『鴨川ホルモー』
僕の上半期1位。これが6位というが、今回の本屋大賞のレベルの高さを感じる。京都を舞台として大学生がホルモーという不思議な競技をする。独特の文体や摩訶不思議な京都の描き方は森見登美彦の影響を受けていと思われるが、なんといってもこのホルモーという競技を思いついたところが
万城目学の凄いところだ。詳しく紹介するのは読むときの楽しみが減るのでやめておくが、読んでいると小鬼たちがワラワラと目に浮かんできて、夜空に向かってホルモーと叫びたくなってくる。そして彼らの学生生活があまりにも魅力的で、京都の大学に行きたかったと思わせる。こんな気分が味わえる小説はなかなか無い。
7位『ミーナの行進』
小川洋子は『博士の愛した数式』で本屋大賞を受賞しているので、あまり票が入らなくて7位になったが、もっと上位に入ってもいい完成度の高い物語だと思う。舞台はお金持ち一家だが物語は派手ではない。家族それぞれが何かしらの心の隅に不安や苦悩を抱えながら生活している。だがそれはマイナス要素というわけではなく、そういうものがあるからこそ人として人生を歩んでいる実感のようなものが生まれ、全てが調和してこそ生まれる幸福感に繋がっていく。
8位『陰日向に咲く』
個性的な人物を描いた連作短編集。ホームレスに憧れる男、アイドルオタク、頭の悪そうなフリーター女子、ギャンブル中毒の男、売れないお笑い芸人を好きになった女の子。世間的にはダメ人間に分類され、本人は大真面目だが傍からみると滑稽という人たち。劇団ひとりのコントなどは彼らの真剣さゆえの滑稽な部分を表現して笑いを取る。だが、小説では彼らの内面を中心に描いている。傍からみると笑えていたダメ人間たちだが、真剣に生きて思い悩むひとりの人間として浮かび上がってくる。ベストセラーになるのも頷ける内容だ。多彩な人だが、小説家に専念して欲しいと本気で思う。
9位『失われた町』
SF小説的に、細かく設定された独自の世界を描いている。現代の日本のようだが、読み進めていくと、まったく違う世界なのわかるようになっている。「消滅」を管轄している「管理局」という特殊機関があり「検閲」行っているなど『図書館戦争』に近いところがある。登場人物はライトノベル&アニメ的で、女性の人物造形、特に男女間の恋愛感情などの描写は、僕には受け容れられないところが多くて慣れるまで苦労した。そういえば『となり町戦争』も男女間のやり取りの部分はつらかった記憶が。こっぱずかしい恋愛描写とか苦手です。
10位『名もなき毒』
今さら宮部みゆきの本屋大賞はないだろうということで票がまったく入っていないだけの、名誉ある10位。本書は吉川英治文学賞も受賞した完成度の高い作品で、さすが宮部みゆきは格が違うなと思わせるミステリー小説。日常にあるような小さな事件から始まり、日常にあるような様々な問題がいくつも絡み合って、やがて大事件へと発展してゆく。感情移入しやすい等身大の主人公と親近感を持てる登場人物たち。社会派のネタを織り込みつつも、事件を社会問題として処理せずに、一人の人間の問題として見つめ直し、生きていくことについて考えさせる。エンターテイメントとして十分に楽しめた上に、読み応えのある読後感。軽すぎず、重すぎず、小説を読んだという満足感を味わえる。さすが宮部みゆき。
以上!!











