『アメリカン・ドリーム』ボブ・グリーン/集英社 | 砂場

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本の感想と日記。些細なことを忘れないように記す。

ボブ グリーン, 菊谷 匡祐
アメリカン・ドリーム

ボブ・グリーン2冊目。あいかわらずレベルの高いコラムがつづく。本書の特徴はボブ・グリーンが日本に滞在した期間に書かれたコラムが収録されている所だ。そして、注目すべきは「ヒロシマを考える」というコラム。80年代のアメリカのスナップ写真と呼ばれるボブ・グリーンのコラム。メディアによって作られたアメリカ人ではなく、本当の姿がそこには描かれているという。


ボブ・グリーンは日本滞在中に手紙を貰う。「わたしの故郷のヒロシマへは行かれるのでしょうか? もしその予定がおありでしたら、よろこんで案内したいと思っておりますが」この言葉にボブ・グリーンは読んでいてかわいそうなくらい動揺する。


ぼくらにとっては、耐えられる問題だ。しかし日本人にとっては……どう考えたらいいのか? どう考えるべきなのか? 日本はアメリカの援助のうえに経済的勝利をおさめたのだなどということを、ぼくにいわないでもらいたい――ともかくわれわれは、日本の市民の上に核爆弾を落としたのだ。そんなことはどこの国もしなかったが、われわれはやったのである。それなのに、どうして日本人はわれわれを憎まないのか?


ボブ・グリーンは、アメリカは日本に原爆を落としたという事実をそのまま受け入れる。憎まれるはずの相手からの好意的な手紙にひどく動揺する。そして動揺したままこのコラムは終わる。何も答えのないこのコラム。だがこんなコラムを書くボブ・グリーンが、アメリカでもっと愛されたコラムニストだということを、僕は嬉しく思う。