『楽園のつくりかた』笹生陽子/角川文庫 | 砂場

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笹生 陽子
楽園のつくりかた

ここ数年、児童書系作家の活躍は素晴らしい。あさのあつこ、梨木香歩、森絵都。そして笹生陽子だ。

都会育ちの中学生。塾通って勉強一筋。エリートコースを突っ走って東大に入り一流企業就職を目指していたのだが、ド田舎の学校に転校することになる。こんな環境ではエリートコースを歩めないと憤慨する主人公だが。

北上次郎が「絶妙な人物造形、巧みなプロット、センスのよさと三拍子揃った傑作」と絶賛している本書。ヤングアダルトに分類されるので、想定される読者層は10代前半あたりだろう。大人向けとしてはどうなのだろうと思いつつ読み進める。

個性派ぞろいの同級生達の人物造形は上手い。キャラ立ちしすぎてマンガみたいだが、それぞれの同級生が物語りに必要な存在なのがいい。のん気な母親と、とぼけたお爺ちゃんも主人公のいい味をだしている。このお爺ちゃんとの噛み合わない会話だけど、しっくりくる距離感というのはセンスがないと書けないだろう。だけどプロットは・・・と思っていたら後半でやられた。大人でも十分に楽しめる小説だ。あと何冊か読んでみたい。

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このタイトルはかなり好きだ。悪党は「ぼく」って言わないし、「なりたい」って言って悪党になるものじゃないだろう。たぶん、悪党ってのは生まれながらの悪党だと思うぞ。悪いことはいわないからやめておけ、とタイトルをみるたびに思う。