- 町田 康
- 告白
ダヴィンチのプラチナ本ということで、満を持して町田康に初挑戦。饒舌系の文章が食わず嫌いで今まで手をだしていなかったのだが、読んでみるとリズミカルな文体でするすると内容が頭に入ってくる。これは気持ちいいかもと思い、文章のリズムに合わせて快適に読み進めていく。
それにしても小説でこんなに笑ったのは始めてかも知れない。盆踊りのシーンは笑いをこらえきれずに声までだしてしまった。だが、この物語は突飛な行動で笑いを誘う変な人を描いた小説ではない。これは実際にあった大量殺人事件「河内十人斬り」を扱った物語だ。
主人公である熊太郎の幼少期から物語りは始まる。のちの大量殺人を犯すこととなる熊太郎は、その頃からすでに頭の中で考えていることを上手く言葉で伝えることができない。ちょっとした会話ですら深く悩んで考えすぎたすえ、いざ声にだしてみると、思っていることとまったく違う意味の言葉が飛び出してくる。大人になるにつれ人間関係は複雑さを増し、回りとの溝は深くなってゆくだけだ。お陰で村内の人間関係は捩れて拗れ、よかれと思ってした行動は全て裏目にでて、色々な恨み辛みが積み重なり、それが爆発した「河内十人斬り」。
笑えるけど笑えない小説。読後感はかなり重いのがくる。